研究課題/領域番号 |
26462951
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
津賀 一弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (60217289)
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研究分担者 |
吉川 峰加 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (00444688)
丸山 真理子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (80613041)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯学 / 口腔機能訓練 / リハビリテーション / 認知症 / 摂食嚥下障害 |
研究実績の概要 |
認知症高齢者は,摂食嚥下障害を高頻度に合併するものの,指示理解が困難な為,摂食嚥下訓練を十分に実施できないことが多い.本研究は,①安全な棒付き飴を短時間・自発的に舐める機能訓練法(飴舐め訓練)の開発と②認知症高齢者における飴舐め訓練の効果を検証を目的とした. 健常若年者29名を対象とし,10分間の飴舐め訓練を週に3回,8週間実施し,訓練前後に口腔機能検査を行った.その結果,2分間飴を全力で舐めた際の1分間の飴の減少量を測定する舐摂(しせつ)機能検査において検査値の向上を認め,飴舐め訓練が健常若年者において口腔機能を向上させる可能性が示唆された. 次に,認知症高齢者65名に対して飴舐め訓練と従来の摂食嚥下訓練法との実施率を比較した.また,44名を対象者として飴舐め訓練を週に3回,6ヵ月間継続して実施し,訓練前後で口腔機能検査を実施した.さらに15名の対象者に対しては訓練期間前後の安静時および訓練時の唾液嚥下回数を測定した.その結果,飴舐め訓練は65名中60名(92.8%)で実施可能であり,従来の方法より有意に高い実施率であった.6ヵ月間の飴舐め訓練は28名(63.6%)が完遂し,誤嚥性肺炎による脱落は認めなかったものの舐摂機能検査値は訓練前後で有意差は認めなかった.一方で,要介護4,5の対象者については25名中10名に舐摂機能検査値の向上や7名に栄養状態の指標となるMNA-SFの改善が見られた.嚥下回数は訓練期間前の安静時が1.3±1.1回/10分であったのに対し,訓練時は15.5±9.1回/10分と有意に増加した.さらに,訓練期間後の訓練時嚥下回数は20.1±11.6回/10分であり,訓練期間前後で有意に増加した. 以上の結果より,飴舐め訓練は認知症高齢者に対して継続実施可能な摂食嚥下訓練法であり,特に要介護度の高い高齢者に対して有用となる可能性が示唆された.
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