我が国は65歳以上の高齢者人口が3,000万人を突破する超高齢社会に突入した.有床義歯を必要とする患者も増加傾向にある.しかし多くの患者が,歯科医院で製作された義歯に満足せず,咀嚼時の疼痛や違和感に悩まされている.そのため緩衝効果を期待して各種の軟性裏装材が応用されている.しかし殆どの市販軟性裏装材は,耐久性に乏しく劣化が進んでいく.そこで研究代表者らは,幅広い粘弾性的性質を有するウレタンオリゴマー材料に着目し,機能的に優れた新規軟性裏装材の開発に着手した.試作軟性裏装材の耐久性に関する評価を行い,市販軟性裏装材と比較して優れた物性を有することが明らかとなり,臨床応用の可能性が示唆された.
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