研究実績の概要 |
PRGフィラーはフルオロボロアルミノシリケートガラスとポリカルボン酸との酸-塩基反応で生じた反応生成物であるグラスアイオノマー相を含んでいる.ガラス粒子の表層のみにグラスアイオノマー相を形成させるS-PRG技術(S-PRGフィラー)とガラス粒子全体にグラスアイオノマー相を形成させるF-PRG技術(F-PRGフィラー)に分類される.今回はこのS-PRGフィラーを含有した充填用レジン添加型グラスアイオノマーセメントを試作し,そのフッ素溶出量について検討を行った. 実験には粉末の主成分がアルミノシリケートガラス,液成分に親水性多官能性モノマーを含んだ充填用レジン添加型グラスアイオノマーセメントを用いた.このセメント粉末中にS-PRGフィラーをそれぞれ1,3,5wt%添加し,3種類の試作セメントを使用した.直径20mm,高さ2mmの円板状試料を作製し37℃の脱イオン水中(30mL) に浸漬保管した.フッ素溶出量の測定は水中浸漬1,2,3,4,5,6,7,8,9,10および14日後に行った.測定はイオン選択電極法にて行い,試料数は各5個とした. その結果,14日間を通してS-PRGフィラー5wt%含有試料は1wt%含有試料より有意に高いフッ素溶出を示した.レジン添加型グラスアイオノマーセメントにS-PRGフィラーを1 wt%から5wt%に増加させることで,14日目の累積フッ素溶出量が40%増加することが認められた.本実験条件より少量のS-PRGフィラーの添加によりフッ素溶出が増加することが認められた.
|