顎関節症における中枢性感作判定のために確立された熱刺激プロトコールを臨床応用するため、従来の大型機器であった温冷痛覚計を用いた熱刺激プロトコールを、簡便に判定可能な小型化された中枢感作診断装置として開発した。そして有用性が従来の危機と同等であることを確認するため、intra-class reliability(検者内信頼性)およびinter-class reliability(検者間信頼性)を検証した。 ボランティアを追加して10名において従来のユニークメディカル社製の温冷痛覚計(UDH-300)と本研究により開発された携帯型中枢感作診断装置で、前述の熱刺激プロトコールを対象の咬筋直上の皮膚および腕部に加え、時間的荷重と残感覚の持続時間を測定した。 携帯型中枢性感作刺激装置の精度向上のため、熱刺激間隔や設定温度、刺激時間などによる変化を詳細に検討し、最も適した状態になるよう調整を試みた結果、従来の大型の温冷痛覚計と同等のintra-class reliability(検者内信頼性)およびinter-class reliability(検者間信頼性)を得ることが確認された。 携帯型中枢感作診断装置を含めた定量的な感覚の総合評価法を求めて、臨床試験で中枢性感作の高い正診率を示す新規バイオマーカーとして開発すべく、筋性顎関節症を対象に関連施設を含めて臨床試験を行った。携帯型中枢感作診断装置と圧痛閾値などを組み合わせた定量的感覚の総合的検査を用いて、対照群を用いた比較対象試験を実施した。 携帯型中枢感作診断装置により、診察時に中枢感作を生じているかをチェアーサイドにおいて簡便に実施できる可能性が示唆された。
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