研究課題/領域番号 |
26462959
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小見山 道 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60339223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 咬合接触 / クレンチング |
研究実績の概要 |
平成27年度は、咬合関連疾患を有する患者の咬合接触様相が脳幹反射に及ぼす影響について研究を進め、繰り返しのクレンチングが咀嚼筋活動に及ぼす影響について検討した。被験者は顎口腔領域に異常を認めない19~34歳の16名を対象とした。被験者は5日間連続で約1時間のクレンチング課題を行った。全測定において表面電極を用いた筋電図にて筋活動の測定を行った。各日の最初に最大噛みしめを行い、その値を100% maximum voluntary contraction (MVC) と定義した。10%、20%、40% MVCの3種類のクレンチング強度を運動課題とした。被験者はビジュアルフィードバックなし(pre-training)、ビジュアルフィードバックあり(training)、ビジュアルフィードバックなし(post-training)の3つをフィードバック条件とし、連続して順に測定を行った。測定した実験データから運動課題を実行した5秒間における表面筋電図の実効値 (RMS値)を各被験者における全測定より抽出した。次に目標とした運動強度およびRMS値から5日間の運動学習を評価するため各日における3種類のフィードバック条件での決定係数を算出した。5日間における100% MVCのRMS値は各日の間で有意差を認めなかった(P=0.326)。5日間におけるRMS値の決定係数は各日の間で有意差を認めた(P<0.001)。1日目のpre-trainingにおける決定係数は4日目および5日目のpre-trainingにおける決定係数と比較して有意に低かった(P<0.05)。以上の結果から、継続的なクレンチングは最大咀嚼筋筋活動量の向上よりも先に、運動学習に関係する運動精度の向上の発現に寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得られた咬合接触とクレンチングに関する実験データや筋電図による実験データをもとに解析を行い、日本補綴歯科学会や日本顎関節学会などで学会発表を行っている。またクレンチングによる大脳皮質の運動学習についてデータ取得後、学会発表を行い、論文を作成している。各歯種によるクレンチング強度と咬合接触関係の相違についても現在論文作成中である。脳幹反射に関するデータも取得して現在解析中であり、概ね順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度、平成27年に行った研究とその結果をもとに、脳幹反射に関するデータをさらに取得して現在解析中であり、必要に応じて新たに実験を追加し、さらに得られた結果をとりまとめ、学会発表や論文投稿を検討する。各歯種によるクレンチング強度と咬合接触関係の相違についても現在論文作成中であり、その内容との関連についても検討する。また国内のみならず国外の共同研究者とも検討を重ね、海外学術雑誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に伴う消耗品購入において、予算よりも安価に購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画遂行における筋電図実験の電極の購入を行う予定である。
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