研究実績の概要 |
【目的】:主剤として過酸化水素水, 助剤としてアパタイト光触媒を使用したホワイトニング剤を試作し, 新規ホワイトニング剤の漂白効果の評価についてヒトの抜去歯を用いた方法で行い,さらに, 新規ホワイトニング剤の漂白表面への影響について表面荒さと硬さにより検討した. 【材料と方法】:アパタイト光触媒にはランタンオキシアパタイトを使用した. 主剤として過酸化水素水(5~35%), 助剤として光触媒を使用した. 1.ヒト抜去歯に対する漂白効果 1)漂白用切片の作製:抜去歯をレジン包埋後, 歯冠部のみ水平に切断して漂白用切片とした. 2)ヒト抜去歯の漂白方法:水平切片に漂白剤を塗布後, ハロゲンランプによる光照射した. 3)測色と漂白効果の評価:漂白処理による水平切片の色調変化の測色は微小面分光色差計により, 測色にはLab表色系を使用し, 色調変化には簡易測色計で測定した. 2.漂白処理のHAP焼結体表面への影響は, 表面観察、表面粗さおよび表面硬さにより検討した. 表面観察と表面荒さはナノスケールハイブリッド顕微鏡, 表面硬さはビッカース硬度計で測定した. 【結果と考察】:エナメル質, 象牙質とも過酸化水素水のすべての濃度で漂白処理回数が多いほど L*値は増加傾向を, b*値は減少傾向を示した. エナメル質,象牙質とも漂白処理回数が多いほど色差は増加し,漂白効果が高かった. 低濃度(5%)の過酸化水素水でも,歯質に対する漂白処理後の色差は大きく,漂白効果の高かった.漂白処理によるHAP焼結体表面への影響について,過酸化水素水の濃度が高いほど表面粗さの値が大きくなる傾向がみられた. 低濃度の過酸化水素水(5%)を使用した場合,3回の漂白処理でも表面粗さへの影響はほとんどみられなかったが, 漂白処理回数が2回で表面硬さへの影響がみられた.
|