研究課題/領域番号 |
26462967
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
星名 秀行 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30173587)
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研究分担者 |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10242439)
山田 一穂 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20397152)
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 培養自家骨膜細胞 / 歯科インプラント / 骨再生 / 3D-CT / 画像解析 / 骨代謝 |
研究実績の概要 |
【骨膜組織採取と培養】それらの患者の下顎大臼歯部の骨膜組織5×10mm程度を10%ウシ胎児血清、抗生物質、アスコルビン酸を含むMedium199にて6週間培養し、シャーレ上に培養骨膜細胞シートを製造した。【培養自家骨膜細胞を用いた上顎洞底挙上術】手術室で培養自家骨膜細胞と多血小板血漿(PRP)および自家骨細片を混合したものを移植材とする上顎洞底挙上術を平成27年度期間中に4名実施した。埋入に際してはインプラントの初期埋入トルクの計測と記録を行った。【症状の観察と記録】培養自家骨膜による上顎洞底挙上術を実施した患者について、術後4か月、12か月のCT撮影を実施して、データの収集を継続している。同様のことを標準の上顎洞底挙上術を行った対照群においても行った。【精密3D-CT画像解析】上顎洞挙上術での培養自家骨膜細胞移植のCT画像データを画像解析プログラムに適用し、顔面頭蓋骨内の基準点をもとに、経時的に再生骨の領域とCT値の詳細な変化を追跡比較し、再生骨の代謝状況を分析した。この経時的・精密重ねあわせによるCT値比較によって再生骨の骨形成と骨吸収の様相を精密に分析した。培養自家骨膜投与群および非投与群のいずれでも、術後3年を経過した症例について、協力の同意を得つつ順次CT画像取得を行った。【培養骨膜の臨床施用の長期経過観察のデータ蓄積】3年以上経過症例についてはこれまで10例程度のデータ集積を行った。それらの結果では、培養骨膜投与症例の増生骨が正常骨と同等のCT値層別の比率の構成を示しているのに対し、対象とした標準治療の自家骨移植群では皮質骨レベルのCT値領域と軟組織領域の割合が高いことが示され、3年経過後も正常な骨に移行していないことが示された。これらはインプラント安定性の計測値においても培養骨膜投与群が有意に高い安定性を示し、画像データの解析結果を裏付ける結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養骨膜を投与した症例数はこれまでの研究機関を通じて9症例であり、それらの症例について再生医療の実施とデータの収集を予定に沿って行っている。 過去のデータについても3年および8年に達するものから順次CTデータおよび計測的インプラント安定度等の臨床データを蓄積しており、データの形成は順調に進んでいる。症例数の限界から新たに無作為割り付けによる比較試験が難しい状態にあり、コントロール症例については過去の症例の中から適合する症例を選択してあてている。これらの方策によって概ね目的を達成できるレベルと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き多様な歯槽骨顎骨欠損を有する患者を臨床試験にエントリーする。新たな症例の登録がH27年度で減じてしまったのは、再生医療新法への移行のため特定認定再生医療等委員会と厚労省届け出、さらに施設内での自費診療項目としての申請に半年近く再生医療の実施を差し止めたためであり、次年度ではこれを解消できると考えている。現在、3年予後観察を終えた症例について国際専門学術誌への投稿を準備している。 本年度中は継続して、長期の症例経過観察を行う。将来的に10年予後に達する対象患者グループを形成する基盤環境を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費および出版経費、物品費ともに概ね予定額を支出しているが、出版にかかる経費については、年度内に出版に至っていないため、 英文校閲および出版にかかる経費が残額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は継続して培養骨膜による歯槽骨再生治療を実施し、その経過観察と記録の保存を実施する。同時に出版を推進し、それにかかる経費の予定通りの支出に努める。
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