研究課題/領域番号 |
26462968
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土屋 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20569785)
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研究分担者 |
黒田 健介 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (00283408)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オッセオインテグレーション / タンパク質 / インプラント / 二酸化チタン |
研究実績の概要 |
オッセオインテグレーションを形成するタンパク質を同定とそのタンパク質の石灰化能を明らかにすることが本研究の目的である。 上記目的を達成するために、ブタ下顎骨からカルシウム結合タンパク質、不溶性コラーゲン、水溶性タンパク質を段階抽出し、二酸化チタン粉末に付着させた。そして、二酸化チタンに付着能を有する骨由来タンパク質の同定を質量分析器を用いて行った。また、タンパク質を付着させた二酸化チタン粉末にカルシウムを付着させ、アリザリンレッドS染色の変法を用いて、石灰化能を明らかにした。 二酸化チタンへの付着能を有するタンパク質は約2800種類同定された。それらには、既存の報告と同様のタンパク質であるデコリン、オステオカルシン、アルブミンなどが同定された。その一方で、成長因子、酵素など細胞外マトリックス以外のタンパク質も多数同定された。また、各段階抽出したタンパク質の石灰化能を調べたところ、二酸化チタンに付着したカルシウム結合タンパク質は、その他の骨由来タンパク質と比較して石灰化能が低いことが明らかになった。 既存の報告では、二酸化チタンと骨の間にオステオカルシン、オステオポンチンなどのカルシウム結合タンパク質が存在することが明らかにされているが、本研究の結果からは二酸化チタン表面の石灰化に寄与する程度はそれほど高くないことが示唆された。本研究では、個々のタンパク質ではなく、性質が類似したタンパク質の混合物を用いているために、二酸化チタン表面の石灰化に寄与するタンパク質の同定をすることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroの研究は計画以上に順調に進展している。しかしながら、研究モデルの変更が必要になっており、より生体内に近い環境での研究モデルの探索が必要となってくる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの実験で用いた二酸化チタン粉末では、表面エネルギーなどを考慮に入れた事件モデルではないため、今後、粉末ではなく二酸化チタン板を用いてタンパク質の付着実験や石灰化能の機能実験を行う必要がある。 また、オッセオインテグレーションを獲得した二酸化チタンと骨の間にはアモルファスレイヤーと呼ばれるプロテオグリカン層が存在すると考えられている。プロテオグリカンのみを骨組織から抽出、精製し、同様の実験を行うことによりプロテオグリカンと二酸化チタンの化学的結合様式を明らかにする。
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