研究実績の概要 |
脱落乳歯歯髄の採取と培養:今年度は、19名の小児(5歳11ヵ月~12歳0ヵ月、健常児12名、何らかの全身疾患を有している児7名)の交換期障害の乳歯(乳前歯9、乳臼歯9)、および抜歯を必要とした埋伏過剰歯1より、本人と保護者の同意を得、歯髄細胞を採取した。そのうち培養、増殖に成功したものは7(乳前歯3、乳臼歯4、健全なもの4、C1~C2程度の齲蝕罹患歯3)であった。交換期乳歯であり、採取できる歯髄は極めて少量であったため、10㎝の細胞培養ディッシュ上でコンフルエントになるまで増殖させるのに約1ヵ月~3ヵ月を要した。培養に失敗したものは12で、付着しなかったもの3、付着後増殖培養の過程におけるミス4、付着後増殖しなかったもの2、増殖後付着細胞が剥離したもの3であった。
脱落乳歯歯髄のストックの作成:コンフルエントまで増殖させた4種の歯髄細胞(乳前歯2ー健全、乳臼歯2ーC2)は、各3ずつ10代まで継代し、ストックを作成した。継代中の増殖のペースは概ね良好で5~7日毎に10㎝ディッシュ90%コンフルエントまで増殖させ、継代を行った。
乳歯歯髄細胞のiPS細胞の供給源としての有用性の判定:10代まで継代し、ストックできた4種の細胞について、2代目と6代目の細胞各1、計8より、タンパク質を抽出し、多能性幹細胞のマーカー15種類(Oct-3/4,Nanog,SOX2,E-Cadoherin,α-Fetoprotein,GATA-4,HNF-3β/FoxA2,PDX-1/IPF1,SOX17,Otx2,TP63/TP73L,Goosecoid,Snail,VEGF R2/KDR/Flk-1,HCG)の発現についてHRP反応により検出を解析した。結果、8サンプル全てで、15種類全てのマーカー抗体を検出した。各抗体間の検出レベルの差については、サンプル数を増やし検索する予定である。
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