研究実績の概要 |
乳歯歯髄細胞の採取と培養:今年度は、全身疾患罹患児4名の小児(21trisomy 2名,伊藤白班1名,急性リンパ性白血病骨髄移植後4年経過,5歳11ヵ月~8歳11ヵ月)の交換期障害乳歯(乳前歯2歯,乳臼歯1歯,全て健全)抜歯及び、晩期残存乳臼歯(23歳1ヵ月,C2)の抜髄に際し、歯髄組織採取を行った。採取にあたっては,本人と保護者に対しインフォームドコンセントの上これを実施した。そのうち、培養、増殖に成功したものは1例のみであった。失敗例はすべて,細胞の付着から認められなかった.培養成功例の一例についても付着確認まで数日を要した. 乳歯歯髄細胞のiPS細胞の供給源としての有用性の検討:26年度に解析を行った4種の歯髄細胞について、増殖能およびGSK-3阻害剤6-bromoindirubin-3'-oxime(BIO)の影響を検討した。増殖能は一様ではなく,細胞間で大きな差を生じた。低い増殖能を示した細胞は,培養,継代の過程においても他の細胞に比べ2~3倍の期間を要していた。 4種の細胞の培地中にBIOを3μMの濃度で添加し、48時間培養後、抽出したタンパクについて,多能性幹細胞のマーカー15種類(Oct-3/4, Nanog, SOX2, E-Cadherin,α-Fetoprotein, GATA-4, HNF-3β/FoxA2, PDX-1/IPF1, SOX17, Otx2, TP63/TP73L, Goosecoid, Snail, VEGF R2/KDR/Flk-1, HCG)の発現をHRP反応により検出、解析した。結果4種の細胞全てについて,BIOの添加により全てのマーカーの検出レベルが大幅に低下した。増殖抑制は顕著で、形態にも変化が現れており、4種の細胞は、3μM BIOの添加により、形態はより単純化され、大きさは軽度の増大傾向を示していた.
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