研究課題/領域番号 |
26462974
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
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研究分担者 |
河野 舞 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (90586926)
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯学 / 生体材料 / インプラント / 光機能化 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の到来による健康寿命の延長に伴い、インプラント治療に対する期待はますます高まっている。特に無歯顎患者に対するインプラントを支台としたオーバーデンチャーは、無歯顎高齢患者のQoL改善に大きく貢献することが期待される。しかしながら、インプラントが長期的に安定して機能するためにはインプラント周囲炎を予防することが重要である。本研究の目的は、光機能化インプラントが獲得した超骨結合を長期間維持することにより、インプラント周囲炎の増悪因子である外傷性の荷重負荷が生じないようにすることを目指すことである。 平成26年度は、本研究プロジェクトの初年度としてまず若齢ラットモデルの大腿骨にインプラントを埋入して、バイオメカニカル試験(押し込み試験)を行った。これは埋入後3、6、12か月に骨-インプラント結合強度を測定することにより、一度獲得した超骨結合の経時的な変化を長期的に調べるものである。なお、試作シリンダー型インプラント(直径1㎜×長さ2㎜、JIS第二種純チタン)にフッ化水素酸と硫酸を用いて、 二重に酸処理を施したものをインプラント体として使用した。 酸処理後、 1か月間暗所にて保存したものを対照群とし、 埋入前に15分間の短波長紫外線照射を行ったものを光機能化群とした。その結果、インプラント埋入後3、6か月における骨-インプラントの結合強度は、光機能化処理によってそれぞれ1.9、1.4倍に有意に増大していた(p<0.05)。これまでの研究成果より、光機能化処理によって骨-インプラントの結合強度は埋入後2週では3.1倍に増大することがわかっている。本研究の成果より、超骨結合によってもたらされる光機能化インプラントの高い力学的安定性は、埋入6か月後でも有意な差を保ち続けていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリング時期が最も遅いものでは、インプラント埋入1年後にバイオメカニカル試験を行う予定であるので、初年度にすべてのデータを採取することができなかった。しかしながら、埋入3、6か月後の実験データが本研究の仮説を支持するものでなければ、実験デザインそのものを修正する必要があるため、埋入3、6か月後の実験データをふまえた上で、より長期間におよぶ動物実験を実施することは使用する実験動物の匹数を最小限に抑える上でも極めて重要であると考える。 本研究プロジェクトの初年度である平成26年度は、若齢ラットモデルにおける埋入3、6か月後のバイオメカニカル試験を行うまでにしか至らなかったが、本研究プロジェクトの仮説を指示する研究成果が得られことは非常に意義のあることであり、実質的な達成度は高いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究成果より、本研究プロジャクトの仮説ならびに研究デザインが概ね妥当であることが確認されたので、引き続き研究期間がより長期におよぶ埋入12か月後のバイオメカニカル試験を行う。また、もう一つのバイオメカニカル試験である逆トルク試験についても同様に実施する。さらには、加齢ラットモデルにおいて一度獲得したオッセオインテグレーションが経時的にどのように変化するのかを明らかにすることを目指して、加齢ラットモデルの大腿骨にインプラントを埋入する。また、最終年度に向けて、組織計量学的評価に用いるサンプルを採取するための動物実験も順次行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の年度末に動物実験用光機能化装置が故障したが、その時点での研究費残高が不足していて、修理することができなかったため動物実験を一時中断せざるを得なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、上記の平成26年度の残額に平成27年度の交付金を合わせて、装置を修理した後に実験を再開する予定である。
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