歯列・顎顔面欠損の再建治療に効果的なチタンインプラントの欠点の一つは、歯肉や皮膚の結合組織層と付着しないことにある。本研究の目的は、アルカリ熱処理を用いてチタン表面にナノ形態を付与することにより、結合組織と付着するチタンインプラントを開発することにある。 特定条件でアルカリ熱処理を施したチタン表面は無数のナノ孔と密な突起を特徴とするナノ形態を示した。本ナノチタン表面は、ラット歯肉線維芽細胞やヒト真皮線維芽細胞のコラーゲン産生能や細胞外基質の付着力を増大させた。ウサギ上顎骨モデルで、ナノチタン表面インプラントは、歯肉線維端を表面内に封入し、歯周組織様の結合組織性付着を獲得することが示された。
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