研究課題/領域番号 |
26462979
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
池田 貴之 日本大学, 歯学部, 助教 (30366603)
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研究分担者 |
祇園白 信仁 日本大学, 歯学部, 教授 (90153262)
本田 雅規 日本大学, 歯学部, 准教授 (70361623)
成田 達哉 日本大学, 歯学部, 助教 (50508629)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 配向性コラーゲン / 骨造成 / 3Dコラーゲンマテリアル |
研究実績の概要 |
1. 3次元配向性コラーゲンマテリアルの作成 コラーゲンマテリアルの作成は、50μmの配向性コラーゲンストリングスを20本および30本コラーゲンシート上に配列し、配列したシートを100層積層することで、立体構造を持つマテリアルとした。20本配列のストリングス間は285μmで空孔率は0.86、30本配列のストリングス間は177μm空港率は0.76となる。20本および30本配列のストリングス間隔は、骨形成に最適なポアの直径(300~400)よりも小さいが骨形成を行うには十分な直径であると考えた。 2. 3次元配向性コラーゲンマテリアル内の細胞数 播種した細胞混濁液に製作したコラーゲンマテリアルを設置し、コラーゲンマテリアル内の細胞数を測定したところ、30本配列がコントロール(テルプラグ)および20本配列よりも多い傾向を示した。各担体内の細胞数と担体外の細胞数を比較したところコントロールでは10%が内部で80%が外部であった。コラーゲンマテリアルでは20本および30本ともに内部20%で外部5%であった、ほぼ全ての細胞が毛細管現象によりマテリアル内に取り込まれたものの、結果として内用液量が減少したため、マテリアル周囲の細胞が死滅したものと考えられる。また、製作したコラーゲンマテリアルは細胞混濁液に浸された状況でも毛細管現象によりマテリアル上部にまで細胞混濁液が到達し、かつその形態を保持したままであるのに対し、コントロールは形態が保持できず細胞混濁液内に完全に浸漬している状態となっていた。常に血液等が供給される状態であり、粘膜組織の圧力がある移植実験において、コラーゲンマテリアルの特性は有利に働くものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験として作成したコラーゲンマテリアルは円柱状にすることを目標としていたためコラーゲンシート上にコラーゲンストリングスを配置し、これを巻くことで円柱状の形態とした。その結果、最終的に採用した積層型よりも高い毛細管現象を示したが、巻き方によって空孔率が変化すること、培養液内でコラーゲンシートが開き円柱状を維持できない問題が生じた。そこでコラーゲンシートを積層し担体を作成することとしたが、コラーゲンシートに20本および30本のコラーゲンストリングスを配置し、さらにそのシートを100層積層することにかなりな時間が必要であった。9個の担体を作成するのに3~4か月必要であった。また、コントロール群の選定として、配向性のない積層型担体を作成することを考えたが、9個の担体作成に3~4か月必要であること、製作費用が高額であることから、すでに市販され臨床に使用されているコラーゲンマテリアルから選定することとした。その結果広く臨床に用いられているテルプラグが、配向性コラーゲン担体とほぼ同等のサイズであることから有効であると考え使用することとした。 以上2点について時間を費やす結果となったが、作成した担体実験も培養液が予想以上に減少する点を除きほぼ順調に進展した。次年度前半は、in vitro実験を引き続き行い、その結果をもとに移植実験に移行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
配向性コラーゲン担体の空孔率は組織再生において非常に重要な項目である。したがって二種の空孔率の担体を作成したが、空孔率の変更や空孔の配列等も考慮する必要がある。 本年度の実験において配向性コラーゲン担体の有用性はおおむね確認できたが、より詳細な検討を行い、その結果を基に移植実験に最適な条件を具備した配向性コラーゲン担体を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した設備備品が当初予定よりも安価に入手できたこと。担体製作の製作可能個数に限度があり、製作日数を要するため、本年度予定していた個数よりも少なくなったため、予定額に達さなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度製作予定だった担体の残りを購入する。その際、空孔率を変化させるため、予定よりも多くの種類を製作購入することとなる。
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