研究課題/領域番号 |
26462983
|
研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
大井田 新一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10114745)
|
研究分担者 |
山越 康雄 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (20182470)
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20410053)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 助教 (40367305)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 歯根膜細胞 / BMP / TGF-b |
研究実績の概要 |
歯周組織の再生機構を解明することは、歯周疾患の治療のみならず、将来的には歯科インプラント周囲への歯槽骨、歯根膜、セメント質の形成を可能にし、より天然歯に近い歯科インプラント治療ができるものと思われる。歯根膜中には未分化間葉系細胞の存在も確認されており、これらの細胞から歯周組織のさまざまな細胞が分化誘導されていると考えられており、その分子機構を解明することは重要な意味がある。 未分化間葉系細胞から骨、軟骨、筋、脂肪細胞への分化誘導機構に関する研究報告は多いが、歯科領域で重要な歯周組織細胞(歯根膜細胞、セメント芽細胞、骨芽細胞)への分化誘導機構については未だ不明である。本研究では歯周組織再生治療の基盤を確立する目的で以下の研究を行った。 1) ラット歯根膜より、経時的に細胞を分離培養し、歯根膜中央からセメント質表面までの細胞の性質の違いを検討した。ALP活性の測定やいくつかのマーカー遺伝子の発現の変化がみとめられた。 2) 歯根膜基質、脱灰セメント質および象牙質上で歯根膜細胞を培養し、組織切片を作製して形態変化、基質形成を観察した。その結果、基質に接する細胞に形態の変化が認められた。 3) ブタ歯根膜、歯随、象牙質中の生理活性物質(BMPおよびTGF-b)について検討した。それぞれの組織からの抽出物を精製し、培養細胞(ラット歯根膜細胞、マウス筋芽細胞(C2C12)およびHPDL(ヒト歯根細胞)などに加え、ALPおよびマーカー遺伝子発現を指標に、抽出物中の生理活性物質について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのところ、歯根膜中央部からセメント質表面に向かって細胞の性質が少しずつ変化していることが、ALP活性の測定やいくつかの遺伝子発現の違いから明らかとなった。また歯根膜基質、脱灰セメント質および象牙質上での歯根膜細胞の培養では、表面に接する細胞に特徴的な変化が生じた。さらにブタ歯根膜にはTGF-b活性が、セメント質にはBMPおよびTGF-b活性が認められた。
|
今後の研究の推進方策 |
ブタ歯根膜、脱灰セメント質上での培養、抽出物の培養細胞への作用から、生理活性物質の存在が示唆され、抽出物中にもBMPやTGF-bの存在が明らかとなったことから、今後さらに分離精製をすすめ詳細な検討を行いたいと考えている。分離精製物質は歯根膜由来の間葉系幹細胞に加え、オステオカルシン、オステオポンチンおよびBSPなど硬組織特有なタンパク質の発現や石灰化を指標として骨やセメント芽細胞への分化を検討する。また歯根膜細胞への分化はペリオスチンやPLAP-1などの歯根膜細胞特有な遺伝子発現を指標とし分化誘導機構を検討する。
|