研究課題/領域番号 |
26462986
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
秋山 真理 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60340618)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | FBXW2 / 骨膜組織 / 骨膜由来細胞 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
従来の研究において、培養したウシ骨膜由来細胞には、Fボックスタンパク質の1つであるFBXL14が発現していることを明らかにしてきた。今年度は以前、候補として挙がっていたにも関わらず、ウシ骨膜由来細胞において発現していることが証明できなかったもう1つのFボックスタンパク質FBXW2についての知見が得られた。従来の研究で明らかにしてきた結果と当該年度の研究成果を比較すると、従来は培養細胞のみの組織切片を作製していたのに対して、当該年度からはオリジナルの骨膜組織と培養骨膜由来細胞がつながった混合物を切片にして免疫染色を行ったため、FBXW2は培養細胞ではなく、骨膜組織の側に存在することが明らかになった。 培養した骨膜由来細胞を生体に移植し、骨形成が行われる時期には、培養細胞に発現していたFBXL14も、骨膜組織に発現していたFBXW2も消失していくことがわかった。この研究結果は1編の英語論文としてまとめ、現在投稿中である。 より多くのタンパク質の情報を得るため、タンパク質の抽出は、従来の研究で対象としていた培養上清から細胞質へと変更し、質量分析によってタンパク質の同定を試みた。従来の研究と同様にmatrix-assisted laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry (MALDI-TOF-MS)およびliquid chromatography-tandem mass spectrometry (LC-MSMS)の2種の測定法を試したが、安定した結果が得られず、今後の課題となっている。 複数のタンパク質の相互作用に関しては、2重免疫染色によって相対的な発現部位が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来の研究で、タンパク質の解析を行うときに対象としたのは培養上清であり、回収したタンパク質の量は質量分析法に用いるのに充分な量であったが、当該研究では培養細胞の細胞質からタンパク質を抽出しているため、従来と比較して充分な量のタンパク質が得られなかった。遅れが出た原因はタンパク質の抽出方法にあると考えている。 しかし、複数の抗体を用いて2重免疫染色などを行い、タンパク質の相互作用について調べているところであり、従来の研究で発現していることがわかっているタンパク質については発現している複数のタンパク質がほぼ同じ部位に発現している様子が明らかになりつつある。従来の研究では、Fボックスタンパク質の1つFBXW2の存在を、培養上清の質量分析によって予測していたが、培養骨膜細胞での発現は明らかにできなかった。培養上清の分析結果をもとに、今年度はFBXW2がオリジナルの骨膜組織の中に存在していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞の細胞質内のタンパク質抽出液を用いて質量分析を行ってきたが、得られた量が少なかったため、測定およびタンパク質の同定に失敗した。次年度からは培養細胞およびオリジナルの骨膜組織の混合物からタンパク質全体(核、細胞質、細胞外マトリックス)を抽出し、質量分析装置で測定するタンパク質の増量を目指す。タンパク質抽出前の処理も、剪刀などを用いて物理的な力を加えるだけでなく、凍結粉砕するなど、さらに抽出効率のよい前処理法を試みる。 2重免疫染色法では、抗体の相性や2色の色素で染め分けをしたときのコントラストの問題など技術的にまだ改善の余地があり、さらに最適な抗体の組み合わせと染色の条件を見つけ出す。
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