研究実績の概要 |
間葉系幹細胞による軟骨細胞への分化および再生について検討するため、ラット骨髄由来細胞を三次元培養した。雄性ラット骨髄由来細胞(1,000,000 cells/ml)を50 ml遠沈管に播種し、Dulbecco’s modified Eagle’s medium - high glucoseに1% FBS(Fetal bovine serum)、1% ITS(Insulin-Transferrin-Selenium)、0.1 μM dexamethasone、50μg/ml ascorbic acid、10 ng/ml TGF(Transforming growth factor)β-3を添加して培養したものを実験群とした。培地にTGFβ-3を添加せずに培養したものを対照群とした。また48 well プレートに細胞を播種し(20,000 cells/ml)、三次元培養と同一培地を用いて平面培養も行った。 三次元培養では、培養3週後に遠沈管で形成された細胞スフェロイドを採取して凍結切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色、アルシアンブルー染色を行うとともに、Sox9およびアグリカンの発現を免疫組織化学的染色によって検索した。平面培養では培養5週後にアルシアンブルー染色およびアリザリンレッドS染色を行った。 実験群では三次元培養において3週後にアルシアンブルーにより著明に染色された。またSox9およびアグリカン陽性所見が確認された。平面培養でもアルシアンブルーにより染色されたが、アリザリンレッドSでは染色されなかった。 以上より、間葉系幹細胞を成長因子等を添加した培地により培養すると軟骨細胞へ分化誘導されることが示唆された。
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