研究課題
口腔癌細胞HSC-2,HSC-3,OSC-19,OSC-20をニコチン存在下と非存在下で培養し,ニコチンが口腔癌細胞に与える影響について解析を行った.運動能,増殖能と遊走能はそれぞれWound healingアッセイとトリパンブルー法とBoyden chamber法を用いて測定した.EGFR発現はWestern blot法を用いて調べた.nAChR発現はReal time RT-PCR法を行い評価した.ニコチン添加群は,非添加群と比較してnAChRと運動能,増殖能,遊走能が促進し,EGFRが活性化していた.ヌードマウス可移植性ヒト口腔癌のリンパ節転移モデルの作製を行った.5週齢雄BALB/C系nu/nuヌードマウスの足蹠皮下に口腔癌細胞OSC-19を移植し,膝窩リンパ節への転移の有無を評価した.移植後は連日,ニコチンを腹腔内注射し,移植部の大きさを計測した.移植6週間後にマウスを屠殺し,移植部と膝窩リンパ節を摘出して,4%パラホルムアルデヒドで固定後,パラフィン包埋組織切片を作製した.ニコチン投与群の移植部腫瘍は対照群より増大しており,有意に多くの転移陽性リンパ節を認めた.
2: おおむね順調に進展している
26年度内に予定していた研究計画はほぼ予定通り遂行されている.
in vitroにおいては,ニコチン-nAChR系のシグナル伝達因子に対する阻害剤がEGFR発現に与える影響について検討する.nAChR阻害剤,Src阻害剤,MAPK阻害剤,PI3K阻害剤,Akt阻害剤を用いて,ニコチン-nAChR系のシグナル伝達因子を阻害する.EGFRおよびシグナル伝達因子の発現はWestern blot法を用いて調べる.口腔癌リンパ節転移モデルにおいては,移植部と所属リンパ節の病理組織学的検討を行う.nAChRおよびEGFR発現を免疫組織化学的に評価する.リンパ管新生は抗VEGFR-3抗体と抗LYVE-1抗体を用いて,血管新生は抗CD31抗体を用いて,それぞれ免疫組織化学的に評価する.
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In Vivo
巻: 29 ページ: 189-195
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 22 ページ: 5338-44
Anticancer Research
巻: 34 ページ: 2113-21