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2015 年度 実施状況報告書

ニコチンのEGFR発現促進作用が口腔癌のリンパ節転移に果たす役割

研究課題

研究課題/領域番号 26463004
研究機関岡山大学

研究代表者

伊原木 聰一郎  岡山大学, 大学病院, 助教 (80549866)

研究分担者 佐々木 朗  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00170663)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードニコチン / EGFR
研究実績の概要

タバコの主要成分ニコチンは,喫煙により肺胞や口腔粘膜から吸収され,血中に移行する.血中のニコチンは,中枢神経系のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に作用し,多幸感をもたらし,タバコの依存性に関与する.最近我々は,主に神経系のみに存在すると考えられていたnAChRが,乳癌細胞にも存在し転移を促進することを報告した(Guo J, Cancer Res, 2008).さらに我々は,口腔癌細胞において(1)ニコチンがEGFRのリン酸化を促進させること(2)ニコチンが運動能を上昇させること,を確認した(兒玉真一, 岡山歯誌,2013).これらの知見より生じる疑問である,ニコチン-nAChR系が,EGFRの活性化を介して,癌の浸潤・転移を促進しているかという点について,口腔癌リンパ節転移動物モデルを用いてその解明を目指した.
ヌードマウスの足底皮下に口腔癌細胞を移植しリンパ節転移動物モデルを作製した.リンパ節転移動物モデルにおいて,ニコチン投与によって腫瘍体積が増加し,リンパ節転移が促進された.ニコチンは口腔癌細胞の増殖能,遊走能,浸潤能を促進したが,nAChR阻害薬はその効果を抑制した.抗EGFR抗体は口腔癌細胞の増殖能,遊走能,浸潤能を抑制したが,ニコチンはその効果を解消した.ニコチン添加により口腔癌細胞のEGFR発現は減弱したが,リン酸化し核内移行した.ニコチンはEGFR下流のシグナル伝達因子を活性化したが,nAChRを阻害するとシグナル伝達因子は抑制された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に立案した研究計画の80%程度は完了しており,概ね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

口腔癌リンパ節転移動物モデルにおいて,ニコチン-nAChR系を阻害し,リンパ節転移の抑制効果を調べる.移植部と所属リンパ節の病理組織学的検討を行う.移植部におけるnAChRおよびEGFR発現を免疫組織化学的に評価する.リンパ節転移陽性率はH.E.染色と抗サイトケラチン抗体を用いた免疫染色を行い評価する.膝窩リンパ節と鼠径リンパ節への転移様相を解析する.移植部のリンパ管新生と血管新生をそれぞれ免疫組織化学的に評価する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Tufts Medical Center/Molecular Oncology Research Institute(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Tufts Medical Center/Molecular Oncology Research Institute
  • [学会発表] 口腔癌細胞におけるニコチンと上皮成長因子受容体の関連性について2016

    • 著者名/発表者名
      桑島大介,伊原木聰一郎,高畠清文,吉岡徳枝,岸本晃治,志茂 剛,長塚 仁,佐々木 朗
    • 学会等名
      第70回 NPO法人日本口腔科学会学術集会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2016-04-16 – 2016-04-17

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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