研究課題
(1)口腔扁平上皮癌細胞における癌幹細胞形質の解析口腔扁平上皮癌細胞OM-1から、CD44high/AHDH1high細胞およびCD44high/AHDH1low細胞をsortingし、その性状を解析した。CD44high/AHDH1high細胞はGSK3βの高発現を示し、高いスフィアコロニー形成能をもち、Sox2、Oct4、Nanog等の幹細胞マーカーの高発現を示した。さらにGSK3βノックダウン後に、CD44high/AHDH1high細胞のスフィアコロニー形成能は著しく抑制された。また、CD44high/AHDH1high細胞は線維芽細胞様形態を呈し、ビメンチンの高発現を認め、間葉系細胞の性質を示した。以上の結果から、GSK3βがCD44high/AHDH1high細胞の幹細胞形質に重要な役割を担う可能性が示唆された。(2)口腔扁平上皮癌幹細胞におけるアポトーシス抵抗性の検討口腔扁平上皮癌細胞LUC4,HTB-41からCD44high/ESAlow細胞、CD44high/ESAhigh細胞、CD44low細胞をsortingし、それぞれの細胞集団において、AnnexinVを用いて、抗癌剤(5-FU, CDDP)により誘導されるアポトーシス細胞の検出を行った。その結果、CD44high/ESAlow細胞が最も高いアポトーシス抵抗性を示した。また、CD44high/ESAlow細胞は、5-FUの抵抗性に関与するDihydropyrimidine dehydrogenase (DPD)の高い発現を示した。以上の結果から、間葉系細胞の性質を示すCD44high/ESAlow細胞が、5-FU, CDDP等の抵抗性に深く関与していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
口腔癌細胞株において癌幹細胞形質を有する細胞集団を同定し、その幹細胞性の維持にはGSK3βが関与することを明らかとした。
これまでの研究成果をさらに発展させるために、Snail過剰発現細胞を樹立し、EMTが誘導された細胞における癌幹細胞形質とGSK3βの役割を明らかとする。
ノックダウン細胞を作成する際に使用した試薬等の購入金額が予定金額を下回ったため。
次年度使用額については、引き続いてノックダウン細胞の培養に必要な試薬の購入に充てる計画である。
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