ヒト口腔扁平上皮癌幹細胞におけるGSK3βの発現及び機能解析

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26463005
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 重石 英生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (90397943)
• 研究分担者: 太田 耕司 広島大学, 病院(歯), 助教 (20335681) ; 小野 重弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (70379882) ; 東川 晃一郎 広島大学, 病院(歯), 講師 (80363084)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 癌幹細胞 / ALDH1 / GSK3β

研究実績の概要

（1）口腔扁平上皮癌細胞OM-1 から、CD44high/ALDH1high細胞およびCD44high/ALDH1low細胞をsortingし、その性状を解析した。CD44high/ALDH1high細胞はGSK3βの高発現を示し、高いスフィアコロニー形成能を有し、Sox2、Oct4、Nanog等の幹細胞マーカーの高発現を示した。さらに、GSK3βノックダウン後に、CD44high/ALDH1high細胞のスフィアコロニー形成能は著しく抑制された。また、CD44high/ALDH1high細胞は線維芽細胞様形態を示し、ビメンチンの高発現を示し、間葉系細胞の形質を示した。以上の結果から、GSK3βがCD44high/ALDH1high細胞の幹細胞形質や表現型に重要な役割を担うことが示唆された。

（2）口腔扁平上皮癌細胞OM-1 から、CD44high/ESAlow細胞、CD44high/ESAhigh細胞、CD44low細胞をsortingし、それぞれの細胞集団において、AnnexinVを用いて、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の検出を行った。その結果、すべての抗癌剤において、CD44high/ESAlow細胞は最も高いアポトーシス抵抗性を示した。また、CD44high/ESAlow細胞にSnailを強制発現させると、アポトーシス抵抗性が増加した。

（3）口腔扁平上皮癌細胞OM-1 から、CD44high/ALDH1high/ GSK3β high細胞をsortingし、その性状を解析した。CD44high/ALDH1high/ GSK3β high細胞はCD44high/ALDH1high/ GSK3βlow細胞と比較して、より多くのスフィアコロニーを形成し、幹細胞マーカーの高発現を示した。

研究成果

• [雑誌論文] CD44high /ALDH1high head and neck squamous cell carcinoma cells exhibit mesenchymal characteristics and GSK3β-dependent cancer stem cell properties. (2016)
  • 著者名/発表者名: Seino S, Shigeishi H, Hashikata M, Higashikawa K, Tobiume K, Uetsuki R, Ishida Y, Sasaki K, Naruse T, Rahman MZ, Ono S, Simasue H, Ohta K, Sugiyama M, Takechi M.
  • 雑誌名: J Oral Pathol Med 巻: 45(3) ページ: 180-188
  • DOI: 10.1111/jop.12348
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Snail-induced CD44high cells in HNSCC with high ABC transporter capacity exhibit potent resistance to cisplatin and docetaxel. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hashikata M, Shigeishi H, Okui G, Yamamoto K, Tobiume K, Seino S, Uetsuki R, Kato H, Ishioka Y, Ono S, Ohta K, Higashikawa K, Sugiyama M, Takechi M.
  • 雑誌名: Int J Clin Exp Pathol 巻: 9(8) ページ: 7908-7918
  • 査読あり / オープンアクセス