現行の抗癌剤の中には自然界の生理活性物質由来の薬剤も少なくない.地球上の大半を占める海洋をすみかとする海洋生物は,地上の生物とは異なった代謝システムや生理機能を有しているため,新規の生理活性物質を産生している可能性が高い.我々は日本近海に生息する海洋生物より生理活性物質を精製・同定し,新規医薬品開発を目指した基礎的研究を行っている.日本近海やインドネシア近海で採取した海洋生物由来生理活性物質を,無血清培養系での扁平上皮癌細胞の増殖抑制活性を指標に精製を進めた.ヒトiPS細胞を無血清培養下で重要臓器細胞に分化させ,新規生理活性物質の薬剤としての毒性を検討することを予定した.
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