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2014 年度 実施状況報告書

上皮間葉転換による口腔癌の浸潤・転移機構の解明 -特にZEB1,2に着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 26463014
研究機関九州大学

研究代表者

川野 真太郎  九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)

研究分担者 豊嶋 健史  九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20546569)
中村 誠司  九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード口腔扁平上皮癌 / 上皮-間葉転換 / ZEB1 / ZEB2 / 浸潤 / 転移
研究実績の概要

口腔扁平上皮癌の浸潤・転移の分子機構を解明するにあたり、本研究ではZEB1およびZEB2を介した上皮間葉転換(EMT)に着目し、本年度は以下の項目について研究を行った。
①EMT形質を有する口腔扁平上皮癌細胞の分離・同定:これまでにわれわれは、当科で樹立したOSCC高転移株(SQUU-B)が多くのEMT形質を有することを報告してきた。この細胞より、EMT獲得細胞の代表的形質であるE-cadherinの発現が減弱した細胞(SQUU-B-EL)をフローサイトメーターにて分離すると同時にE-cadherin高発現細胞(SQUU-B-EH)も分離し,両者の細胞特性について検討を行った。その結果、SQUU-B-ELにおけるZEB1およびZEB2の発現量は、SQUU-B-EHのそれぞれ47.8倍、21.3倍であり、ZEB1およびZEB2が口腔扁平上皮癌のEMTに関与している可能性が示唆された。
②EMT形質を有する口腔扁平上皮癌細胞の細胞特性の解明:EMT形質を有する口腔扁平上皮癌細胞クローンSQUU-B-ELの細胞特性について検討を行った。SQUU-B-EL細胞は、SQUU-B-EH細胞と比較して、細胞増殖活性は低いが、浸潤能が高く、線維芽細胞様の細胞形態を示していた。
③EMT形質を有する口腔扁平上皮癌細胞におけるZEB1およびZEB2の発現の解析:細胞免疫染色法にて、ZEB-1およびZEB2はSQUU-B-EL細胞の細胞核に発現を認め、その細胞質には間葉系細胞のマーカーであるvimentinの発現を認めた。一方、SQUU-B-EH細胞では、E-cadeherinの発現を認めたもののZEB-1およびZEB2の発現は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時、口腔扁平上皮癌におけるEMT細胞の分離・同定とその細胞特性の解明を当該年度の計画に挙げていたが、いずれも本年度に結果を示すことができており、おおむね計画通りに研究が進んでいると考えている。しかしながら、細胞特性の1つである癌細胞の転移能については現在実験計画中であり、やや当初の計画より遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は以下について、さらに詳細に研究を進める予定である。
①ZEB1およびZEB2の発現およびその機能解析
ZEB1およびZEB2 siRNAの遺伝子導入によりそれぞれをノックダウンさせ,細胞増殖能,遊走能,浸潤・転移能についてコントロール群と比較検討する.さらに,ZEB1およびZEB2を発現していないOSCC細胞株にexpression vectorを遺伝子導入し,その効果を検索することによりOSCCにおけるZEBファミリーの機能を明らかにする.
②OSCC切除標本におけるZEB1およびZEB2の局在および臨床病理学的検討
OSCC切除標本におけるZEB1およびZEB2の発現および局在を免疫組織学的染色法により検索し,細胞分化度,浸潤様式,再発・転移の有無,術前放射線化学療法による病理組織学的抗腫瘍効果などとの関連について統計学的に検討する.また,免疫組織学的染色を行う際は,各種上皮系ならびに間葉系マーカーの発現についても同時に行い,これらとZEBとの局在の違いについても検討を行う.病理組織学的抗腫瘍効果の判定には,本学の口腔病理専門医と適宜連携をはかりながら研究を進める

次年度使用額が生じた理由

当該年度内に論文の掲載決定の通知あったため論文掲載費用として計上していたが、掲載が当該年度内に掲載されなかったため次年度繰り越しとなった。

次年度使用額の使用計画

論文掲載費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Increased expression of interleukin-6 predicts poor response to chemoradiotherapy and unfavorable prognosis in oral squamous cell carcinoma2015

    • 著者名/発表者名
      Teppei Jinno, Shintaro Kawano, Yasuyuki Maruse, Ryota Matsubara, Yuichi Goto, Taiki Sakamoto, Yuma Hashiguchi, Naoki Kaneko, Hideaki Tanaka, Ryoji Kitamura, Toyoshima Takeshi, Akiko Jinno, Masafumi Moriyama, Kazunari Oobu, Tamotsu Kiyoshima, Seiji Nakamura
    • 雑誌名

      Oncology Reports

      巻: 33 ページ: 2161-2168

    • DOI

      10.3892/or.2015.3838

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A case of mucoepidermoid carcinoma of the sublingual gland accompanied with extensive dystrophic calcification and intratumoral bone formation2015

    • 著者名/発表者名
      Yasuyuki Maruse, Shintaro Kawano, Tamotsu Kiyoshima, Yuichi Goto, Ryota Matsubara, Toru Chikui, Daigo Yoshiga, Seiji Nakamura
    • 雑誌名

      Head and Neck

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1002/hed.24036

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 根治的頸部郭清術2015

    • 著者名/発表者名
      川野 真太郎
    • 学会等名
      第33回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会
    • 発表場所
      奈良市
    • 年月日
      2015-01-29 – 2015-01-30
    • 招待講演
  • [備考] 九州大学 研究者情報

    • URL

      http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002902/research.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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