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2015 年度 実施状況報告書

上皮間葉転換による口腔癌の浸潤・転移機構の解明 -特にZEB1,2に着目して-

研究課題

研究課題/領域番号 26463014
研究機関九州大学

研究代表者

川野 真太郎  九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)

研究分担者 豊嶋 健史  九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (20546569)
中村 誠司  九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 上皮間葉転換 / ZEBファミリー / ΔNp63 / miR205
研究実績の概要

口腔扁平上皮癌(OSCC)の浸潤・転移の分子機構を明らかにするために、本研究ではzinc finger E-box-binding homeobox (ZEB)1およびZEB2を介した上皮-間葉転換(EMT)に着目し研究を行った。これまでの研究(平成26~27年度)により、EMTの細胞形質を有する口腔扁平上皮癌高転移株SQUU-B細胞はZEB1, ZEB2の発現量が他のOSCC細胞株と比較して、有意に高いことが示された。このことから、ZEB1とZEB2がOSCCのEMT形質の獲得に寄与している可能性が示されたため、本年度は以下の研究を行い、下記の新知見が得られた。①ZEB1とZEB2の発現を制御しているmicro RNA(miR)に着目し、miRNAマイクロアレイを行ったところ、SQUU-B細胞で発現が低かったmiR205を候補分子として抽出した。②miR205はSQUU-B細胞において発現量が最も低く、低転移株であるSQUU-B細胞、HSC-2細胞、正常皮膚角化細胞株(HaCat)では発現量が高かった。③SQUU-B細胞において、miR205mimicを用いmiR205を過剰発現させたところ、E-cadherinの発現増加、ZEB1とZEB2の発現減弱を認めた。④ΔNp63をSQUU-B細胞に過剰発現したところ、miR205とE-cadherinの発現量増加、ZEB1とZEB2の発現量減少を認めた。
以上の結果から、ΔNp63の発現減弱によりmiR205の発現も減弱することによりZEB1とZEB2の発現を増加させ、OSCCのEMTに関与しているものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書に記載した予定どおりに研究を遂行できているためである。

今後の研究の推進方策

①miR205が直接的にZEB1とZEB2の発現を制御しているかを検討するために、ルシフェラーゼアッセイを行う。
②miR205を発現しているOSCC細胞株を用いて、miR205に対するinhibitorを添加しZEB1とZEB2の発現ならびに分化マーカーの発現を検索する。
③ZEB1とZEB2のノックダウンがOSCC細胞の遊走、浸潤、転移能に与える影響について検索する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度に購入した試薬等の量が十分残っており、本年度新たに購入する必要性がなかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度は論文投稿費等が必要となるため、差額を投稿費の不足分に補填したいと考えている。また、次年度は新たに試薬が必要となるため、そちらにも使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Clinicopathological evaluation of pre-operative chemoradiotherapy with S-1 as a treatment for locally advanced oral squamous cell carcinoma2016

    • 著者名/発表者名
      Kawano S, Zheng Y, Oobu K, Matsubara R, Goto Y, Chikui T, Yoshitake T, Kiyoshima T, Jinno T, Maruse Y, Mitate E, Kitamura R, Tanaka H, Toyoshima T, Sugiura T, Nakamura S
    • 雑誌名

      Oncology letters

      巻: 11 ページ: 3369-3376

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌におけるΔNp63を介した浸潤・転移の分子機構に関する研究~Wnt5a-Ror2シグナル経路との関連~2016

    • 著者名/発表者名
      坂本泰基、川野真太郎、松原良太、後藤雄一、神野哲平、丸瀬靖之、金子直樹、橋口有真、大部一成、中村誠司
    • 学会等名
      第34回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2016-01-21 – 2016-01-22
  • [学会発表] PD-1/PD-L1 coexpression is associated with poor prognosis in the oral squamous cell carcinoma patients2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Maruse, S. Kawano, R. Matsubara, Y. Goto, T. Jinno, N. Kaneko, T. Sakamoto, Y. Hashiguchi, K. Oobu, S. Nakamura
    • 学会等名
      第63回国際歯科研究学会(JADR)総会・学術大会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-31
    • 国際学会
  • [学会発表] A study on the expression and function of interleukin-6 in oral squamous cell carcinoma ~its possible involvement in chemotherapeutic resistance~2015

    • 著者名/発表者名
      T. Jinno, S. Kawano, R. Matsubara,Y. Maruse, T. Sakamoto, Y. Hashiguchi, N. Kaneko, A. Jinno, M. Morioka, K. Oobu, T. Kiyoshima, S. Nakamura.
    • 学会等名
      第39回日本頭頸部癌学会 第4回アジア頭頸部癌学会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2015-06-03 – 2015-06-05
    • 国際学会
  • [学会発表] Clinicopathological evaluation of preoperative chemoradiotherapy with S-1 for locally advanced OSCC2015

    • 著者名/発表者名
      Y. Hashiguchi, S. Kawano, K. Oobu, R. Matsubara, Y. Goto, T. Jinno, Y. Maruse, T. Sakamoto, N. Kaneko, M. Morioka, S. Nakamura.
    • 学会等名
      第39回日本頭頸部癌学会 第4回アジア頭頸部癌学会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2015-06-03 – 2015-06-05
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学大学院歯学研究院 顎顔面腫瘍制御学分野ホームページ

    • URL

      http://www.omfs1.dent.kyushu-u.ac.jp

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公開日: 2017-01-06  

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