研究課題
本研究は、口腔扁平上皮癌(OSCC)の浸潤・転移のメカニズムを明らかにするため、zinc finger E-box binding homeobox(ZEB)1およびZEB2を介した上皮・間葉転換(EMT)に着目して研究を行った。これまでの研究により、EMT形質を有する口腔扁平上皮癌高転移株(SQUU-B)細胞において、ZEB1とZEB2の発現が有意に高く、その発現制御にmicroRNA(miR)であるmiR-205が関与している可能性を見出した。そこで本年度は、miR-205によるZEB1とZEB2の発現調節機構を解析した。SQUU-B細胞へmiR-205 mimicを遺伝子導入し、miR-205を過剰発現させると、ZEB1・ZEB2の発現が低下し、E-cadherinを含む上皮系マーカーの発現亢進を認め、遊走能と浸潤能の低下も認められた。逆に、miR-205を発現しているSQUU-A細胞にmiR-205 inhibitorを遺伝子導入し、miR-205のノックダウンを行うと、ZEB1・ZEB2の発現が増加し、E-cadherinの発現は低下し、遊走能の亢進が認められた。さらに、ZEB1とZEB2 mRNAのプロモーター領域におけるmiR-205の結合部位をprotectorにより阻害すると、miR-205過剰発現によるZEB1とZEB2の発現減少が有意に抑制された。これらの結果から、OSCC細胞においてmiR-205はZEB1やZEB2のmRNAのプロモーター領域に直接結合することで、これらの発現を制御し、EMTの誘導に関与していると考えられた。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Oral Oncology
巻: 69 ページ: 15-25
http://www.omfs1.dent.kyushu-u.ac.jp