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2016 年度 実施状況報告書

口腔がん治療により生じる口腔細菌叢の量的・質的変化の次世代シーケンサーによる解析

研究課題

研究課題/領域番号 26463015
研究機関九州大学

研究代表者

大部 一成  九州大学, 大学病院, 講師 (80243955)

研究分担者 川野 真太郎  九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)
竹下 徹  九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
中村 誠司  九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード口腔細菌叢 / 口腔がん / 化学放射線治療 / 次世代シーケンサー / 唾液
研究実績の概要

研究対象は、根治的治療として手術を計画し術前治療として化学放射線治療を行った口腔がん患者である。対象患者の術前治療前から術後経口摂取開始までに対し、4つの時期(A:入院後で術前治療開始前、B:術前治療中の口腔粘膜炎が重篤な時期、C:手術直前の口腔粘膜炎がほとんど沈静化している時期、D手術が終了し経口摂取開始後の時期)を定めて、滅菌生理食塩水含嗽液を唾液とともに回収して分析検体に供した。平成28年度はデータがそろっている16例について次世代シーケンサーIon PGMを用いて16S rRNA遺伝子解析を行ったところ、
1.菌種数はAの時期が最も多く、Dの時期が最も少なかった。菌種別の変化としては、健康な人において優勢な、Neisseria flavescens や Fusobacterium periodonticum の構成比率が術前治療と手術を含むがん治療の前後(Aの時期に対するB、C、Dの各時期)で減少したのが特徴的であった。
2.細菌叢構成の変動量は術前治療前から手術までの間(A~C間)より手術終了後から経口摂取開始までの間(C~D間)の方が大きく変動していた。
3.さらに総細菌数について細菌共通配列である806Fおよび926Rをプライマーとした定量PCR法を用いて測定を行ったところ、Aの時期において、7.6±0.7 (copies、対数値)であったのに対しB、C、Dの各時期ではそれぞれ8.6±1.2、8.5±1.1、9.1±1.2と治療時期の経過とともに増加する傾向が見られた。
以上のことから、口腔がんに対する化学放射線治療や手術などの治療が加わると菌種数が減少すること、手術が終わり経口摂取を始めると細菌叢構成の変動することがわかった。 また、治療時期の経過とともに口腔衛生状態が悪化している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

口腔がん患者からの唾液サンプルの採取は比較的順調であるが、すべての分析が進んでいない。また、対照群の設定が必要であるが、非がん患者からの唾液サンプルの採取がまだ少ない。

今後の研究の推進方策

今後はさらに口腔がん患者症例を増やすとともに、対照群としての非がん患者との比較や手術後に手術野感染(SSI)を認めた患者や誤嚥性肺炎を発症した患者に特徴的な細菌叢構成や細菌数の変化があるかについても検討を行う予定である。
最終年度であるのでデータの発表とまとめも行ってゆく予定(今年6月には国内学会での発表予定あり)。

次年度使用額が生じた理由

計画的に使用してきたが、新たな試薬を購入することを次年度に持ち越した結果、余剰が生じた。

次年度使用額の使用計画

唾液サンプルの分析は次年度に続くので、次年度交付金と合わせて計画的に使用してゆく予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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