ビスフォスフォネート (BP) は骨粗鬆症治療の第一選択薬として国内外で広く使用されているが、近年、重篤な副作用としてビスフォスフォネート関連顎骨壊死 (BRONJ) が報告され、患者数は増加している。BRONJは、抜歯などの侵襲的歯科治療後に発生しやすいことが知られているが、その発生機序や有効な予防法は未だ明らかになっていない。本研究では、BP投与で起こる免疫機能低下がBRONJの発生に深く関与しているとの仮説に基づき、発生リスクの異なる4種類のマウスを用い、特に樹状細胞ならびに制御性 T 細胞の機能変化に着目した免疫制御能とBRONJリスクの関連性や、制御性 T 細胞移植のBRONJ予防効果について検討を行う計画を立てた。将来的には、予防法やリスク診断法の開発につなげることを目的とする。まずは、BRONJ 発生リスクの異なる4種類のマウス(ステロイド性骨粗鬆症+BP、閉経後骨粗鬆症+BP、BP、生理食塩水)を作製し、それらのマウスの末梢血、リンパ節、胸腺、脾臓における DC の機能ならびに免疫制御細胞の存在比率と BRONJ 発生リスクの関連性について検討を行い、制御性 T 細胞移植の BRONJ 予防効果を明らかにするために、同種健常マウスから採取した制御性 T 細胞を生体外で培養・増幅し、BRONJ モデルマウスへ移植を行う。本研究における BRONJ の定義は、「抜歯から8週間が経過してもμCT 及び組織学的に顎骨壊死と抜歯窩の治癒不全(骨及び粘膜の閉鎖不全)が認められるもの」であるため、抜歯から8週経過時点での顎骨の状態を評価し、予防効果を判定する。
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