研究実績の概要 |
CCN3は様々な細胞の増殖、分化に関与するCCNファミリーに属する。CCN3はそのNotchと結合して筋細胞の分化を抑制することが報告されていたため、申請者らはBMPとNotchのクロストークにCCN3が関与すると考えて研究を進めた結果、CCN3がBMPシグナルとNotchシグナルを介して、骨芽細胞の分化を制御するコントロール遺伝子であることを明らかにした(B.B.R.C., 354, 2007, B.B.R.C., 368, 2008, J.Biol.Chem., 288, 2013)。本研究では、組織再生時に調節因子の供給路となる血管新生におけるCCN3の機能を解明することを目的に、特に血管新生で着目されているCD34陽性細胞やVEGFとCCN3との関係に焦点を当て、in vivo、in vitroで機能解析を行うこととした。 その結果、CCN3が分泌タンパクであるVEGFと結合することにより、VEGFのVEGFレセプターへの結合を阻害し、血管新生を制御していることを実験的に示唆された。また、Notchシグナルが、腫瘍の血管新生において、あたかも機能的な血管ネットワークを形成するかのごとく、血管内皮細胞増殖因子で盛んに刺激された血管新生を負に調節している報告があるが(Nature, 444, 2006)、本研究においても、CCN3が骨再生時の血管新生に対し、Notchシグナルを介した間接的な作用により、抑制的に働いていることも実験的に示唆された。
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