研究課題
当院を含む6病院において、口腔癌で放射線治療を受ける患者を対象に、通常の口腔管理を行う対照群と、スペーサー作製、塩酸ピロカルピンの投与、デキサルチン軟こう+オリーブ油の塗布を行う介入群にランダム化し、グレード3の重症口内炎の発症抑制を主要評価項目とする多施設共同介入試験を行った。平成28年12月で症例登録を締め切り、現在統計解析中である。放射線単独治療例においては介入群のほうが対照群に比べて有意にグレード3の口内炎の発症率が低く、本法の口内炎抑制効果が確認できた。一方、化学療法と放射線療法の併用例においては、本法の明らかな口内炎抑制効果は認められなかったが、これは使用する抗がん剤がさまざまであり、regimenの統一ができなかったためと考えられた。また副次評価項目としてカンジダ症の発症について検討した。介入群ではステロイド軟こうを使用するためカンジダ症の発症が懸念されたが、両群で口腔カンジダ症の発症率には差がないことが確認できた。これらのことから、本法は口腔がんの放射線治療時の口内炎予防法として有用であることが示された。