研究課題
天疱瘡は粘膜と皮膚に生じる自己免疫性の水疱形成疾患であり、尋常性天疱瘡患者は全例で口腔粘膜に水疱を形成し、口腔に初発する症例が殆どである。また約半数の症例では皮膚にも水疱を形成する難治性の疾患である。天疱瘡の病態形成には病原性の自己抗体大きく関与しており、これまでに天疱瘡自己抗体価と病勢には一定の相関関係が認められることが確認されている。しかし実際には抗体価が低いにもかかわらず重症の症例や、抗体価が高いもかかわらず軽症の症例が数多く存在し、診断や治療において問題になることがしばしば見受けられる。そこで本研究では天疱瘡抗Dsg1自己抗体の新たな病原性評価法を開発し臨床応用を目指すことを目的とした。そのためにDsg1蛋白のみを発現するDsg3ノックアウトマウス皮膚の生細胞を用いたIn vitro dissociation assay法にて自己抗体病原性解析を行った。準備段階として、先ず野生型新生仔マウス皮膚を用いたIn vitro dissociation assayの細胞分離、培養、保存およびassay法の確立を実施した。続いてDsg3ノックアウトマウスにおけるDsg1蛋白およびDsg3蛋白の発現をウェスタンブロット法にて解析した。次に、Dsg1のみを発現する、Dsg3ノックアウトマウス皮膚を用いたIn vitro dissociation assayを行い、天疱瘡患者血清(粘膜優位型、粘膜皮膚型および落葉状天疱瘡患者血清)および健常人血清を用いて天疱瘡抗Dsg1自己抗体病原性解を行った。さらに各天疱瘡臨床型の血清中における抗Dsg1自己抗体病原性と臨床症状の解析を行った。
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Odontology
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