iPS細胞を効率的に分化誘導し、さらに品質評価するための新たな手法として、われわれは凍結切片を利用する新たな分化誘導法を確立しそのメカニズムを解明することを目的に検討を行った。そこで、マウスの肝臓、脳、脊髄の凍結切片を作製し、①その切片上、②固定処理した切片上、③マウスの各組織より抽出したmicroRNAを培養液に添加の3群でヒトiPS細胞を培養したところ、凍結切片上で培養したiPS細胞では、分化誘導が可能であり、また固定した凍結切片上培養では分化誘導効率は低下した。このことから、タンパク質成分および固定された凍結切片に残存する何らかの微小構造や微小環境が分化誘導に有効であることが示唆された。
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