研究課題/領域番号 |
26463031
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
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研究分担者 |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (00366329)
中野 敬介 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10325095)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多形腺腫 / 細胞分化 / Wnt |
研究実績の概要 |
各種の口腔腫瘍について検討したが,主なものは多形腺腫について行い,Wnt-1及びβ-cateninの発現状況と細胞骨格である各種CKの分布を免疫組織化学的に検討した。Wnt-1は腫瘍細胞のほぼ全てに発現していた。特に腺管様構造の小型立方形細胞や扁平上皮化生が生じた部位である基底細胞様細胞には、強く陽性反応した。β-cateninでも腫瘍細胞の細胞膜周囲に陽性反応を呈したが、腺管様構造の小型立方形細胞では核内移行が生じた。しかし、基底細胞様細胞では、核内移行は少なかった。蛍光染色で確認したところ、Wnt-1とCK7及びWnt-1とCK13の濃淡はほとんどが一致していた。以上より、多形腺腫では、充実性に増殖した腫瘍細胞の中で、腺管様構造を呈し、特に立方形細胞の部位で、Wntが細胞分化に関与しており、Wntで現在確認されている3つの経路のうち、β-catenin経路を介して働いている事が考察される。また、充実性に増殖した腫瘍細胞の中でも、扁平上皮化生している部位の基底細胞様細胞では、Wntはβ-catenin経路以外で働いていることが示唆される。以上のことより、多形腺腫の特徴である、様々な組織への分化には、大きくWntが関与しているが、β-catenin経路を介して分化に関与するものと、それ以外での経路で分化に関与しているものと、細胞形態、部位によって変化していることが思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した研究課題を消化し,学会発表の他,論文としても公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ほかの因子などについても行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は順調に進行したため,多くの成果を得る事が出来た。その為,学会発表を多数する事が出来,また論文としても印刷公表する事が出来た。つまり,学会発表のともなう旅費と論文印刷経費が増加した。一方そのため,実験そのものに使う物品費は少なく済んだので,次年度に使用する金額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越しを含め,2015年度は最終年度でもあるので,昨年同様に実験に直接使用する物品費としての試用は少ないであろうが,研究発表のための旅費としての支出や,論文としての印刷公表経費として多く使う予定である。
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