研究課題/領域番号 |
26463035
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松沢 祐介 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30351620)
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研究分担者 |
間石 奈湖 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00632423)
秋山 廣輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (10609100)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399919)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 腫瘍血管 |
研究実績の概要 |
がん幹細胞は,抗がん剤や放射線治療への抵抗性が高く,がんの再発に密接に関係しており,これらを制御することが重要な課題となっている.近年,がん幹細胞は腫瘍の周辺領域の血管近傍に局在することが報告されている.本研究では,がん幹細胞と血管内皮細胞との相互作用の解析を進めている.平成27年度は,がん細胞と腫瘍血管内皮細胞の相互作用について検討した.初めに,がん細胞から血管内皮細胞への影響を検討した.がん幹細胞を多く含むがん細胞集団(CSC)と,がん幹細胞をほとんど含まないがん細胞集団(non-CSC)の細胞培養上清を血管内皮細胞に処理したところ,CSC培養上清により様々な腫瘍血管内皮マーカーの発現が亢進した.次に血管内皮細胞からがん細胞への影響を検討した.悪性度の高いがん由来の腫瘍血管内皮細胞ならびに悪性度の低いがん由来の腫瘍血管内皮細胞をnon-CSCと共培養すると,悪性度の高いがん由来の腫瘍血管内皮細胞との共培養により,がん細胞の遊走性が亢進し,NF-kBやERK1/2のシグナル経路が活性化した.さらに,がん細胞と腫瘍血管内皮細胞を非接着性プレートで共培養すると,それぞれコロニーを形成した.興味深いことに,腫瘍血管内皮細胞の性質の違いにより,コロニー内のがん細胞の局在に違いが見られた.現在,これらの現象に関して,腫瘍血管内皮細胞において発現が高い分泌タンパクならびに接着関連因子の発現解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍血管内皮細胞が特異的に発現する分泌タンパクや膜表面タンパク,細胞間接着因子等を同定し,それらのがん細胞に対する影響を解析する.さらに,臨床検体を用いてがん幹細胞と腫瘍血管内皮細胞の局在ならびに同定した分子の発現について解析する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
血管内皮細胞とがん細胞の共培養系において,血管内皮細胞の性質の違いによりコロニー形成に違いが認められた.その現象に対して分子生物学的解析を進めているが,候補分子の選定に時間がかかっているため.
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次年度使用額の使用計画 |
PCR解析や免疫染色などに必要な試薬や抗体に充てる予定である.
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