本研究では,がん幹細胞維持における腫瘍血管内皮細胞の役割を検討した.がん幹細胞と血管内皮細胞の相互作用をin vitroで解析した.がん幹細胞を多く含むがん細胞集団の培養上清を血管内皮細胞に処理すると,腫瘍血管内皮マーカーの発現が亢進した.がん細胞と腫瘍血管内皮細胞を共培養し,がん細胞のシグナルを解析した.腫瘍血管内皮細胞,特に高悪性度のがん由来腫瘍血管内皮細胞と共培養した系において,がん細胞におけるNF-kBやERK1/2の経路が活性化した.さらに共培養でコロニー形成が見られ,腫瘍血管内皮細胞が発現する分子が幹細胞性維持に関わる可能性が示唆された.
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