研究課題
Angiogenin (ANG)は、特に口腔癌組織の低酸素環境下で強発現し、癌細胞から多量に分泌されるため、口腔癌治療の分子標的として有望と考えられる。本研究では、真菌代謝産物として分離され、ANGの分泌阻害作用を有するterreinの口腔癌に対する抗腫瘍効果とそのメカニズムを検討し、新規口腔癌治療薬とし可能性を検討した。ヒト口腔癌細胞株HSC-2とSASにおけるANG分泌および増殖に対するterreinの阻害活性を調べた結果、両細胞に対するANG分泌阻害作用(IC50 25~30μM)および増殖抑制作用(IC50 100μM)があることをin vitroで確認した。また、ヌードマウスを用いたHSC-2細胞皮下移植モデルにおけるterreinの抗腫瘍効果の検討では、terrein 45μmol / kg body weight、週3回の皮下注射で有意な増殖抑制作用を確認した。しかし、terrein投与群で有意な体重減少や副作用は認められなかった。そして、採取した腫瘍組織の免疫組織化学的検討から、terrein投与群で、ANG発現の減少、PCNAの発現の減少(腫瘍増殖率の低下)、腫瘍内微小血管数の減少を認めた。以上の結果から、terreinは、直接的な腫瘍細胞増殖抑制作用に加え、ANG分泌抑制作用による腫瘍血管新生抑制作用を介する抗腫瘍作用も有すると考えられ、新規口腔癌治療薬として期待されることが示された。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Anticancer Res.
巻: 36 ページ: 2161-2168