研究課題/領域番号 |
26463045
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上山 吉哉 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00168668)
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研究分担者 |
原田 耕志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60253217)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工癌幹細胞 / リプログラム因子 / エピソーマルベクター / 肝癌細胞 / 乳癌細胞 / 子宮頸癌細胞 |
研究実績の概要 |
当科ではこれまでにOCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNA発現用エピソーマルベクター(pCXLE-hOCT3/4-shp53-F、pCXLE-hSK、pCXLE-hULの3種類)を電気穿孔法により、口腔癌細胞株(HSC2)へ遺伝子導入することによって人工的に癌幹細胞の樹立を行ってきた。この手法を用いて肝癌細胞株(Hep G2)、乳癌細胞株(MCF-7)、子宮頸癌細胞株(Hela)に対して、リプログラミング因子を遺伝子導入して、各トランスフェクタントHep G2/hOCT3/4-shp53-F+hSK+hUL、 MCF-7/hOCT3/4-shp53-F+hSK+hUL、Hela/hOCT3/4-shp53-F+hSK+hULを作製した。それぞれのトランスフェクタントは各親株と比較して、抗癌剤Cisplatin、5-fluorouracil、Docetaxelならびに放射線に対して抵抗性を示した。さらに、MTT assayによる細胞増殖能、Migration assayによる細胞移動能、 Scratch assayによる浸潤能、低付着性細胞培養プレートを用いたsphere形成能を比較したところ、それぞれのトランスフェクタントは各親株よりも高い細胞増殖能、細胞移動能、浸潤能、sphere形成能を示した。さらにヌードマウス背部皮下へ移植を行ったところ、それぞれのトランスフェクタントは各親株よりも高い造腫瘍性を示した。以上の結果から、癌幹細胞に類似した性格を有する人工癌幹細胞が作製できている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝癌細胞株(Hep G2)、乳癌細胞株(MCF-7)、子宮頸癌細胞株(Hela)に対して、リプログラミング因子を遺伝子導入して、癌幹細胞の性格を有するそれぞれのトランスフェクタントを作製できた。さらにこれらは、各親株と比較して、高い細胞増殖能、細胞移動能、浸潤能、sphere形成能を示すことを確認出来た。さらにヌードマウス背部皮下へ移植を行ったところ、それぞれのトランスフェクタントは各親株よりも高い造腫瘍性を確認した。以上の結果から、癌幹細胞に類似した性格を有する人工癌幹細胞が作製できており、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に肝癌細胞株(Hep G2)、乳癌細胞株(MCF-7)、子宮頸癌細胞株(Hela)を親株とする人工癌幹細胞が作製できたため、これまでに当科で作製済みである口腔癌細胞株(HSC2)を親株とする人工癌幹細胞とともに、マイクロアレイ解析にて親株とトランスフェクタント間でそれぞれ共通して特異的な変動を示す遺伝子の同定行う予定である。それらの因子の中には臓器横断的に癌幹細胞に共通した因子が同定出来る可能性があり、その制御方法の確立を目指したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は肝癌細胞、乳癌細胞、子宮頸癌細胞を対象として人工癌幹細胞の作製を行ったが、すべての細胞でエピソーマルベクターの遺伝子導入が成功し、人工癌幹細胞の作製ができたため、今後マイクロアレイ解析、IPAを用いたパスウェイ解析をこれら3種類の細胞に口腔癌細胞を加えた4種類の細胞で親株とトランスフェクタント間での比較検討を予定しており、それらに経費がかかる事が予想されたため、本年度は節約して次年度に少しでも物品費を使用できるように次年度に予算を回した。
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次年度使用額の使用計画 |
肝癌細胞、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、口腔癌細胞を対象として親株とトランスフェクタント間でマイクロアレイ解析、IPAを用いたパスウェイ解析を行い、両者の間で特異的な発現変動を示す遺伝子をピックアップし、臓器横断的に共通した遺伝子やシグナル伝達系を見出す予定であり、これらに経費を使用する予定である。
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