研究課題/領域番号 |
26463047
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
合田 啓之 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00464371)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔癌 / バイオマーカー / IL-6 |
研究実績の概要 |
昨年度得られた結果を踏まえ、樹立した腫瘍部線維芽細胞および正常部線維芽細胞における検討を行った。 免疫染色において、両者ともに vimentin 陽性であり、αSMA は腫瘍部線維芽細胞のみ陽性であった。また、口腔扁平上皮癌細胞株と比較し、有意差をもって、IL-6 の分泌能が両者ともに高く、かつ、腫瘍部線維芽細胞は有意差をもって正常部線維芽細胞より IL-6 の分泌能が高いことを ELISA にて確認した。本年度はまず、血管新生因子との関連を検討した。抗ヒト化抗 IL-6 レセプター抗体を用いて、IL-6 の阻害を行った結果、腫瘍部線維芽細胞および正常部線維芽細胞において、有意差をもって VEGF の分泌抑制が認められた。in vitro において、口腔扁平上皮癌細胞株、正常部線維芽細胞、腫瘍部線維芽細胞における抗ヒト化抗 IL-6 レセプター抗体による増殖抑制や促進は認められなかった。また、口腔扁平上皮癌細胞株と各線維芽細胞の co-culture における増殖抑制や促進も認められなかった。in vivo においては、抗ヒト化抗 IL-6 レセプター抗体および抗マウス化抗 IL-6 レセプター抗体による腫瘍増殖抑制効果が認められた。 以上より、口腔扁平上皮癌において、IL-6 は予後予測因子のバイオマーカーとなる可能性と、IL-6 シグナルは治療標的となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ管新生、血管新生における重要な分子として、IL-6 を同定し、そのシグナル阻害による抗腫瘍効果を確認できた。のこるリンパ節転移機構の解明に着手できる段階まで進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
同様の手法を用いて、VEGF-C に関する検討を進め、リンパ節転移機構の解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な物品等の購入の結果、上記次年度使用額が生じたが、研究は概ね予定通りに進行しており、次年度の試薬、物品等に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に基づき適切な使用を行う。
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