研究課題/領域番号 |
26463050
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
石田 喬之 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (20404501)
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研究分担者 |
吉村 卓也 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 医員 (30726758)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
久米 健一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60650067)
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (70305150)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤能 / 転移能 |
研究実績の概要 |
本研究では口腔癌細胞が浸潤能を獲得するためには上皮細胞である口腔粘膜細胞が組織内部に浸潤するために間葉系細胞様性質を獲得するという上皮間葉移行(EMT)の仮説をもとにしている。EMTが進むと更に先祖返りが進み、幹細胞様性質を獲得し、より癌の悪性度が高まるのではないかと考えている。多くの固形癌のがん幹細胞マーカーが発現している癌細胞は抗癌剤耐性を示すことが示されている。 そこで我々は口腔癌扁平上皮癌細胞株HSC-4に対して間葉系細胞マーカーであるsnailを遺伝子導入しHSC-4 snail株を作製して、親株と比較実験を行ったところ浸潤能と遊走能の亢進を認めた。このことから間葉系マーカーであるsnailの遺伝子導入によりEMTが引き起こされることが明らかになった。またEMTが幹細胞様性質を亢進させるかどうかを確かめるためにまずスフィアアッセイにてスフィア形成能を比較した。その結果、HSC-2 snail株でスフィア形成能の亢進を認め、snail導入により引き起こされるEMTが幹細胞様性質も誘導する可能性が示唆された。 次にHSC-4 snail株においてが幹細胞マーカー発現が変化しているかを確かめるため親株とHSC-4 snail株のマイクロアレイを行い比較したところ、がん幹細胞マーカーであるALDH1、EGF、KITLG、AXL発現の上昇を認めた。今後、当施設で根治術を行って予後が明らかな症例の病理切片におけるこれらの幹細胞マーカーの発現を調べ、予後との関連を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
他業務の責任者となり、業務量が増え研究に時間がとれなかった。本年度は他業務の業務量を整理して研究時間の確保にめどが立ち、研究時間を確保できる見込みがついたので研究計画通りの研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究時間の確保がもっとも大きな課題であったが、他業務にある程度めどが立てられるようになった。 これまでの研究で当科で根治的治療を行ったヒト口腔扁平上皮癌症例の臨床的検討を行い、治療成績を明らかにしてきたため、今後は同症例の病理切片を用いて免疫組織下顎染色を行い、予後との関連を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では当施設で根治的治療を行った口腔扁平上皮癌症例の免疫組織化学染色を行い、予後との関連を調べる予定であったが、研究計画の遅れで実験ができていなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
口腔扁平上皮癌症例におけるがん幹細胞マーカーの免疫組織化学染色を行い、予後との関連を調べる予定である。
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