研究分担者 |
村松 泰徳 朝日大学, 歯学部, 教授 (30247556)
藤内 祝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (50172127)
式守 道夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (70154193) [辞退]
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 講師 (70513670)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
神谷 真子 朝日大学, 経営学部, 准教授 (80181907)
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究科, 教授 (90250464)
本橋 征之 朝日大学, 歯学部, 准教授 (80396390)
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研究実績の概要 |
平成27年度までにOSCC細胞株(Sq1979-1)が、間葉系間質細胞(10T1/2)を介して、抗CD3抗体で刺激した脾細胞のIFN-γ産生能を抑制するが、転移リンパ節巣より樹立したL5細胞にはその抑制効果が見られないこと、およびSq1979系細胞のもたらす免疫抑制促進効果は、これら細胞の放出する液性因子に依存し、一方10T1/2による刺激脾細胞の抑制には、脾細胞との細胞同士の接触が必要であることが判明した。 28年度は、cDNAマイクロアレイ法を用いてL系細胞に比べSq1979系細胞で発現の高い遺伝子群を検索し、免疫抑制と関連のあると思われるIL1α, IL1f6およびIL6などのサイトカインに着目し、それらの中和抗体を用いて機能解析を進めた。その結果、Sq1979の馴化培地中に存在するIL1αが、10T1/2による刺激脾細胞の抑制作用を増強することが判明した。IL1αは、10T1/2細胞のIL6, Ccl2, Ccl7 mRNA発現を有意に上昇または誘導することが判明し間葉系細胞存在下で免疫抑制に関与するのみならず、新たなサイトカイン誘導を介してOSCCの悪性化に寄与していることが示唆された。 また我々は、Sq1979およびL5-11細胞移植マウスの腫瘍組織及び脾臓における骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)の動態を検討した。その結果、L5-11細胞移植組織においてPMN(多核球)-MDSCが顕著に増加し、同移植マウスの脾臓においてもPMN-MDSCの増加が観察されたが、対照的にSq1979細胞移植マウスではMDSCの顕著な変化は観察されなかった。これらの事実を総合すると、低転移能のSq1979細胞は、IL1α分泌および間葉系細胞を介した作用で腫瘍組織の免疫抑制を誘導し、一方、高転移能を有するL5-11細胞はPMN-MDSCが強力に誘導され、全身免疫能の顕著な抑制が示唆された。
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