研究課題/領域番号 |
26463058
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60376712)
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研究分担者 |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00359530)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気管支平滑筋 / 漢方薬 / カルシウムイオン / Trifolrhizin |
研究実績の概要 |
漢方配合剤ASHMI に含まれるTrifolirhizin には近年抗アレルギー作用の存在が示唆されており、PKA 活性化による筋弛緩を示唆する結果を得ている。漢方成分の作用は不明な点も多く、我々は一部の成分が気管上皮へ作用し、その結果産生されたPGE2等のメディエータが気管支を二次的に弛緩させるという気道クロストーク仮説を考えた。 漢方成分の一つであるTrifolirhizinのPLCbを介するmyosin light chainのリン酸化経路への影響を確認するため、単離したPLCbに対するTrifolirhizinの直接作用を確認した。陽性対照として、U-73122を用いた。Trifolirhizinは50uM以上で明らかにPLCb活性を抑制することが示された。その抑制率は陽性対照の70%程度であった。一方、気管支平滑筋培養細胞のprimary cell を用いた生薬由来成分のEP receptor を介する平滑筋収縮・弛緩に及ぼす影響に関しては、現在測定条件の評価中である。筋収縮発現に影響する細胞内カルシウム([Ca2+]i)濃度変化を検出するためにFura2-AM やCa Assay kitを含むCa2+蛍光プローブを用いているが、既存の細胞株およびGABA受容体抑制物質を用いた[Ca2+]iの変動は測定可能だったが、TrifolirhizinやASHMI等の漢方成分では安定して測定出来ず、現在プローブの剪定やマイクロプレートリーダーの測定条件を調整中である。また直接EP2/4受容体による筋弛緩経路を介することの検索のためphospho CREBおよびphospho myosin lightchainを標的としたwestern blotに関し、実験条件の確立および陽性対照群を作成のため、ヒスタミンを用いて実験中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
漢方成分の一種であるTrifolirhizinのPLCbを介するmyosin light chainのリン酸化経路への直接的影響を確認し、50uM以上で明らかにPLCb活性を抑制することが示された。一方、気管支平滑筋培養細胞を用いた生薬由来成分のEP receptor を介する平滑筋収縮・弛緩に及ぼす影響の検討に関しては、従来より筋収縮発現に影響する細胞内カルシウム([Ca2+]i)変化を検出するため用いてきたCa2+蛍光プローブでは安定して検出出来なかった。スペクトラムスキャン等の検討により、漢方成分自体の色調により蛍光と干渉していることが疑われたためプローブを変更することで再検討中である。プローブが決定した後は従来と同様に[Ca2+]i測定が可能となるため、概ね順調と判断する。また直接EP2/4受容体による筋弛緩経路検索のためphospho CREBおよびphospho myosin light chainを標的としたwestern blotに関し、研究分担者により実験条件の確立およびヒスタミンを用いた陽性対照を作成中であり、条件が決定しつつあるとの言質を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
気管支平滑筋培養細胞のprimary cell lineと同様の方法で気管上皮培養細胞においても漢方成分のPGE2 産生に対する影響を検討する。細胞株は必要に応じてEP1,2,4 receptor の遺伝子導入を行う。種々の漢方成分単体あるいは合剤によるmyosin light chainのリン酸化に関し検討する。特に成分の相加作用に注目し、気管支平滑筋培養細胞を用いた複数の漢方成分による胞内カルシウム(Ca2+)濃度変化をCa2+蛍光プローブで測定する。各成分投与による気管支上皮細胞培養上清中のPGE2 濃度もEIA kitを用い評価する。さらに培養細胞を用いた結果を検証するため、wild typeマウス摘出気管支を用いてin vivoにおけるアセチルコリン刺激による気管支収縮における漢方成分の抑制効果や前処理による予防効果を検討する。また上皮除去処理した気管支についても同様に行い、上皮―平滑筋の協同作用に関しても評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
TrifolirhizinのPLCbを介するmyosin light chainのリン酸化経路への影響を確認するため、単離したPLCbに対す気管支平滑筋培養細胞を用いた生薬由来成分のEP receptor を介する平滑筋収縮・弛緩に及ぼす影響の検討に関しては、従来より筋収縮発現に影響する細胞内カルシウム([Ca2+]i)変化を検出するため用いてきたCa2+蛍光プローブでは安定して検出出来なかった。スペクトラムスキャン等の検討により、漢方成分自体の色調により蛍光と干渉していることが疑われたためプローブを変更することで再検討中である。
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次年度使用額の使用計画 |
気管支平滑筋培養細胞や気管上皮培養細胞(primary cell) を用いて、筋収縮発現に必要な細胞内カルシウム(Ca2+)濃度変化をCa2+蛍光プローブを用いマイクロプレートリーダーを用い測定する。またphospho CREB、phospho myosin light chain を標的としてwestern blot を用い筋収縮の活性化を検証する。各成分によるPGE2 産生量をEIA kit を用い評価する。これらの評価を漢方成分単体だけでなく併用による効果に関しても同様に検討する。可能であればwild typeマウス摘出気管支を用いてin vivoにおけるアセチルコリン刺激による収縮に及ぼす影響検討する。
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