研究課題
臨床的に、被膜で覆われた頬脂肪体を組織欠損部へ移植すると完全に上皮化する。このことから頬脂肪体には脂肪細胞由来の幹細胞(Adipose-derived Stem Cells, ADSCs)が存在すると考えた。また、有茎頬脂肪体挙上時にその被膜を損傷すると、上皮化の遅延あるいは部分壊死を生じることから、頬脂肪体は細胞外マトリックス(Extra Cellular Matrix, ECM)あるいはScaffoldに包まれていることが示唆される。以上により、申請者らは<頬脂肪体はADSCs、ECMさらに増殖因子とScaffoldを有する自立的上皮下機能を有する>のではないかという仮説に至った。これまで、口腔内に移植された頬脂肪体の上皮化過程で発現するタンパクに関する研究はない。そこで本研究は、頬脂肪体の上皮化過程で発現する組織修復因子を免疫組織科学的評価とプロテオーム解析により検証することで、頬脂肪体が自立的上皮化機能を有する再建材料であることを証明する目的で企画した。現在、上皮化メカニズムを解明する手法について具体的検討を行っている。まず、関連するmRNA、タンパクの評価を行い、ターゲットタンパクを絞って、免疫組織学的染色を行うことを目標にする。タンパクについては、iTRAQを用いて、プロテオミクスとマイクロアレイのデータを比較検討することを検討している。具体的ステップとしては、はじめに頬脂肪体を用いた再建を行う患者さんに同意を得る。検体は、マイクロアレイ用、iTRAQ用、組織ホルマリン固定用、組織凍結保存用の4グループに分け、手術当日、手術後1週間、2週間、4週間時点でサンプル採取する。必要検体量と手法の再評価を行う目的で、mRNAの抽出とそのquality checkを行い、タンパクを抽出する。その結果を受け、各種評価を行う。
2: おおむね順調に進展している
共同研究施設である日本歯科大学新潟生命歯学部で使用する物品購入、検品の経路など、研究体制が確立できた。実際の検体採取を行った。
採取した検体からのmRNA、タンパク抽出を行う。
プロテオーム解析には1ユニット最低12症例が必要である。それ以下で解析を行なうと、割高となり経済的ではない。27年度は症例の蓄積に費やしたため、次年度使用額が生じた。
28年度にまとめて解析を行なう予定である。
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頭頸部癌
巻: 41(4) ページ: 406-410