研究課題/領域番号 |
26463066
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
樋口 仁 岡山大学, 大学病院, 講師 (30423320)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 老化 / 神経変性 / シナプス |
研究実績の概要 |
申請者の研究協力者である米国ウィスコンシン州立大学マディソン校のDr. Ikedaの研究グループは,Transmembrane135(Tmem135)の変異マウスの視覚ならびに聴覚神経系に神経変性を伴う早期老化が起きることを見いだし,さらにこのTMEM135タンパク質(TMEM135)が網膜のシナプス小胞に存在する可能性を突き止めた。このTMEM135は現時点でその機能は全く明らかとなっていないが,TMEM135が神経,特にシナプス小胞おいて何らかの機能を持ち,老化のプロセスに関与していると考えられる。本研究課題はTMEM135のシナプス小胞における機能を明らかにし,本遺伝子と老化に伴う神経変性との関わりを調べることが目的である。 平成27年度は,平成26年度に計画していたが整備および培養条件の設定に難渋し,計画通りに実験が遂行出来ていなかった培養神経細胞を用いてのTMEM135の細胞局在を引き続き検討した。大脳皮質神経細胞,海馬神経細胞の初代培養細胞の培養を試み,海馬神経細胞については培養に成功した。そこで海馬神経細胞においてTMEM135とMicrotubule-associated protein 2(MAP-2, 神経細胞マーカー) ,シナプス小胞のマーカーであるVesicular glutamate transport protein 1(VGLUT1),Vesicular GABA transporter(VGAT)との局在関係を検討するために,細胞免疫化学染色法による二重染色を行った。その結果,TMEM135はMAP-2で染め出された神経細胞に広く発現をしていたが,当初の予測とは異なり,VGLUT1とVGATとは共局在を示さなかった。これらの結果,TMEM135は海馬の神経細胞には発現しているが,シナプス小胞には存在していない可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養細胞を用いた細胞免疫化学染色法によるTMEM135の細胞局在の検討は平成26年度より計画していたが,培養環境設備の立ち上げ,整備および培養条件の設定に難渋し,当初の実験計画が全体的に遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究成果より,当初の予測とは異なりTMEM135は海馬神経細胞おいてグルタミン酸およびGABAのシナプス小胞には存在していない可能性が示唆された。平成28年度はこれらの知見をさらに機能面でも検証するため,野生型およびTmem135変異マウスの脳よりシナプス小胞を単離し,シナプス小胞におけるグルタミン酸およびGABAの再取り込みを比較し,Tmem135変異マウスのシナプス小胞の機能を検討する。また今後の研究の推進方策について,研究協力者である米国ウィスコンシン州立大学マディソン校のDr. Ikedaとも再検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
極めて少額の次年度使用額で、ほぼ予定通りの使用であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
H28年度の研究の消耗品に使用する。
|