研究課題/領域番号 |
26463072
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
酒巻 裕之 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70312048)
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研究分担者 |
久山 佳代 日本大学, 歯学部, 教授 (00234526)
福本 雅彦 日本大学, 歯学部, 教授 (50175569)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯学 / 細胞・組織 / 病理学 / 癌 / がん関連口腔粘膜病変 / 上皮乳頭内毛細血管ループ / 擦過細胞診 / 液状化検体細胞診 |
研究実績の概要 |
本研究の全体構想は、がん関連口腔粘膜病変の臨床診断基準を作成する事である。 本研究の倫理審査について、千葉県立保健医療大学研究棟倫理委員会(2014-005)、日本大学松戸歯学部倫理委員会(承認番号 EC 15-014号)の承認を得ている。 がん関連口腔粘膜病変(Oral Oncol, 45:317-323, 2010)に分類される口腔白板症や口腔扁平苔癬等について、類似した臨床症状を呈する非典型症例の臨床診断は困難である。本研究では、がん関連口腔粘膜病変を対象とし、その表面の状態と上皮乳頭内毛細血管(IPCL)の形態を観察する接触拡大粘膜鏡視検査(CMUS)所見、ならびに液状化検体細胞診におけるパパニコロウ分類と免疫細胞化学の検査結果とを組み合わせた非侵襲的検査による病変分類について病理組織診断を基準として検討している。 液状化検体細胞診について、採取保存された標本の細胞数が少ないことが判明し、免疫細胞化学における抗体の選択に関する検討が必要になった。そこで、口腔粘膜に症状を有し、CMUS、細胞診、病理組織検査を実施した236症例について、CMUS単独、細胞診パパニコロウ分類単独、CMUS所見と細胞診パパニコロウ分類による分類(C-C分類)について検討した。その結果、CMUS、細胞診、C-C分類ともにPearson カイ2乗検定で有意差を認めた(P < 0.05)。またC-C分類でCMUS所見と細胞診結果とが同一の分類とならない症例の場合、高いクラスとして分類したところ正診率が単独分類より高く、それぞれの検査が補完しあうことが考えられた。 今後,C-C分類における偽陽性や偽陰性となった症例等から免疫細胞化学の抗体選択について検討し、液状化検体細胞診の検体について免疫細胞化学を実施して検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん関連口腔粘膜病変に対してCMUSならびに細胞診,病理組織検査を施行し、これらの検査結果の関連性について病理組織診断を基準として検討する。 がん関連口腔粘膜病変について、本疾患の受診頻度が少なく、口腔粘膜表層から擦過して得られる上皮細胞数が予想より少ない状況である。そこで研究期間中に症例数を増やすとともに,免疫細胞化学に用いる抗体の選択について検討している。また、少ない検体で適切な抗体による検索を可能とする目的で、過去の症例における検討を行うため,新たに日本大学松戸歯学部において研究の倫理審査申請を行い,公開研究実施の承認を得て検討を開始した。現在までにCMUS、細胞診、病理組織検査を実施した236症例から、CMUS所見と細胞診パパニコロウ分類による分類(C-C分類)について、C-C分類と病理組織診断との相関について、Pearson カイ2乗検定で有意差を認めた(P < 0.05)。またC-C分類でCMUS所見と細胞診結果とが同一の分類とならない症例の場合、高いクラスとして分類したところ正診率がそれぞれの単独分類より高く、それぞれの検査が補完しあうことが考えられた。以上の研究成果について学会報告(第61回(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会、第26回日本口腔内科学会学術大会)の演題登録の準備をしている。 今後、C-C分類における偽陽性ならびに偽陰性症例について精査して、免疫細胞化学の抗体を選択し、蓄積した細胞検体に免疫染色を施して、がん関連口腔粘膜病変の分類について検討する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度から継続して、がん関連口腔粘膜病変に対して酒巻裕之がCMUSを担当し、細胞診と病理組織検査ならびに診断を久山佳代と福本雅彦が担当して実施する。C-C分類における偽陽性ならびに偽陰性症例について精査して、免疫細胞化学の抗体を選択し、蓄積した細胞検体に免疫染色を施して検討する。得られた結果を基にして、CMUS所見と液状化検体細胞診(パパニコロウ染色、免疫細胞化学)結果との関連性について病理組織診断を基準にして検討して、CMUSと液状化検体細胞診(パパニコロウ染色,免疫細胞化学)による病変の分類を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では、口腔内所見撮影用のカメラ一式と実験機材の購入、液状化検体細胞診に用いるサイトブラシ、保存液のTACAS、試薬等の物品補充をしましたが、220円の次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額と平成28年度助成金の予算で、引き続き実施する接触拡大粘膜鏡視検査、液状化検体細胞診、免疫細胞化学、病理組織検査に必要な機材、試薬を購入する計画です。
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