研究課題/領域番号 |
26463078
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
土屋 博紀 朝日大学, 歯学部, 教授 (30131113)
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研究分担者 |
溝上 真樹 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (10231614)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 局所麻酔薬 / 全身麻酔薬 / 麻酔補助薬 / 機序的膜作用 / 薬力学的相互作用 / ハーブ / サプリメント / 植物成分 |
研究実績の概要 |
メディカルハーブや植物性サプリメントとの薬力学的相互作用に着目し、周術期に麻酔薬の有用・有害効果が変化する可能性を実験的に検証することを研究目的とする。平成27年度は、前年度の研究成果に基づき、麻酔薬・麻酔関連薬やハーブ・サプリメント成分の生体膜に関する機序的作用ならびに薬物/植物成分間の相互作用を検討した。その結果、以下のような成果を得た。 1.麻酔関連薬の膜作用:リン脂質とコレステロールで調製した脂質二重層から成る生体モデル膜(神経細胞膜と心筋細胞膜)に麻酔薬・麻酔補助薬を作用後、各薬物の機序的な膜作用を解析した。その結果、鎮痛効果を有する薬物は生体膜に作用して膜流動性を修飾する性質を共有することが判明し、これら薬物が有する薬理活性の多様性を説明する理論的背景も得られた。また、膜作用性麻酔薬は、膜活性植物成分と相互作用する可能性も示唆された(成果発表:British Journal of Pharmaceutical Research)。 2.ハーブやサプリメントに含まれる植物成分:フラボノイド、テルペノイド、アルカロイド、スチルベノイド、カプサイシノイド等について、生体膜に作用する特性を解析するとともに、新規薬物のリード物質としての応用性とともに既存麻酔薬と相互作用し得る可能性を考察した(成果発表:Molecules)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に膜作用解析法を確立し、その実用性を確認するとともにそれを用いてルーチン分析を可能にした。したがって、平成27年度は多種多様な麻酔関連薬物や植物成分への応用実験が展開でき、研究計画調書作成時に予定した計画にそって実験データの入手や蓄積が円滑に行えた結果、複数の国際誌や国際会議でもほぼ予想通りの研究成果を公表できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成26~27年度に得た一連の実験データを活用し、生体膜脂質二重層を標的(相互作用部位)とした麻酔薬/ハーブ・サプリメント成分間の薬力学的相互作用に関する理論的構築を試みる。 2.平成28年度を含めた計3年間の研究を総括し、その成果を公表する。研究発表を予定する国際会議・国内学会:The 10th Drug Design and Medicinal Chemistry Conference、The 16th World Congress of Anaesthesiologists、日本麻酔科学会学術集会、他。論文投稿を予定する国際誌:Molecules、Medical Hypotheses、他。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究成果を論文にまとめてBritish Journal of Pharmaceutical Researchに投稿したところ、審査の結果、論文掲載費「90% Off」の優遇処置が得られた。したがって、成果公表のための経費が申請時に想定していた金額より低く抑えられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由から生じた次年度使用額(96,087円)は、平成28年度の研究成果公表に要する経費に充てる予定である。
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