ミダゾラム鎮静中にフルマゼニルを投与し鎮静を拮抗させ,その後認められる再鎮静時にフルマゼニルあるいはアミノフィリンを投与し,再鎮静からの回復状態を観察した. 有志の男性7人を対象とし,同一被検者で2回のtrial施行し評価した.Trial 1 :ミダゾラム0.1mg/kg投与30分後にフルマゼニル1mgを投与し,再鎮静の認められるミダゾラム投与後120分にフルマゼニル0.2mg投与.Trial 2 :ミダゾラム0.1mg/kg投与30分後にフルマゼニル1mgを投与し,Trial 1と同様にミダゾラム投与後120分にアミノフィリン2mg/㎏投与.観察項目は鎮静レベル(脳波スペクトル分析装置の値;BIS値から鎮静状態の評価,および指示に対する反応の有無により覚醒か催眠状態にあるかを評価),鎮静からの回復状態(認識力,精神運動機能,平衡機能),循環(心拍数,血圧,心電図),呼吸(呼吸数,1回換気量,分時換気量,終末呼気炭酸ガス濃度,経皮的動脈血酸素飽和度)とし,5分間隔に180分間観察した.認識力,精神運動機能は,鎮静開始前,開始後40分,60分,90分,120分,150分,180分に記録した. BIS値は,両Trialともミダゾラム0.1mg/kg投与することにより急激に低下し,鎮静後30分では50以下となった.また両Trialとも鎮静後30分のフルマゼニル1mg投与によりBIS値は急激に上昇しミダゾラム投与前値と比較し有意差はなくなったが,その後徐々に低下し鎮静後120分には80以下となった.鎮静後120分に,フルマゼニル0.2mg投与(Trial 1)により,BIS値は上昇したが鎮静前値にまでには回復せず,回復までに160分(鎮静後)を要した.一方,アミノフィリン2mg/㎏投与(Trial 2)では,投与直後から鎮静前値までに回復し,その後高値を維持した.他の評価では,両Trialで差は認められなかった.
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