研究課題/領域番号 |
26463084
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹下 信郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50431515)
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研究分担者 |
千田 透子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (40647947)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 縫合 / メカニカルストレス / 血管形成 |
研究実績の概要 |
本研究は、牽引力に対する縫合の分子生物学的反応の解明を目的とする。我々は、牽引力に対する縫合の初期反応である血管形成とその後の骨形成において、縫合間葉系幹細胞から血管内皮細胞および骨芽細胞への分化が促されると仮説を立て、その分子制御メカニズムの解析を行ってきた。マウス頭蓋縫合への牽引力負荷モデルにおいて、牽引力負荷後3時間の矢状縫合では、VEGF発現の上昇に加えて、 HIF-1α, および各種血管マーカーの発現亢進が認められた。加えて、牽引力負荷後12時間において牽引力はコラーゲン発現を減少し、一方MMP発現は亢進したことから、血管内皮細胞のrecruitmentのために細胞外基質が分解されたことが示唆される。これらの結果により、牽引力が付加された縫合における血管形成の分子学的根拠が、in vivoにおいて初めて示された。次に我々は、牽引力により誘導される縫合での血管形成の分子制御メカニズムの解析を行った。これまでの我々の研究から、牽引力による縫合でのCTGF発現亢進は、VEGF発現を促すことが明らかとなっており、CTGFが牽引力による縫合での血管形成を制御する重要な因子と考えられた。そこで我々は、CTGFの縫合における発現を促す分子の解明を目指した。その結果、牽引力に対する縫合の初期反応において、ERK1/2の活性化が認められた。一方、ERK1/2の阻害剤であるU0126は、牽引力によるCTGF発現を部分的に抑制した。これらの結果から、牽引力による縫合でのCTGF発現亢進は、少なくとも部分的にERK1/2によって制御されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縫合間葉系幹細胞の培養条件の至適化が、当初計画より長期化しているため。
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今後の研究の推進方策 |
縫合において牽引力により誘導される血管形成の分子制御メカニズムの解析をさらに進めるとともに、牽引力が縫合間葉系幹細胞動態に及ぼす影響の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いたin vivo実験を、平成27年度も継続して行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
マウスの矢状縫合に牽引力を負荷し、各種組織学的および分子生物学的解析を行うために、実験動物と試薬の購入を平成27年度に行う。
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