研究課題
矯正歯科治療では、顎顔面領域の縫合に牽引力を負荷することにより、成長期患者における骨格的不調和を改善する。牽引力が負荷された縫合の生物反応として骨形成が促されるが、その制御機構の詳細は不明である。本研究では、牽引力による縫合の生物反応メカニズムの解明を目指して、牽引力による縫合の反応である血管および骨形成における、縫合細胞の機能とその制御機構の解析を行った。CTGFは骨形成を制御するが、牽引力が促す縫合性骨形成におけるCTGFの機能は明らかでなかった。そこで、牽引力が負荷された縫合におけるCTGFの役割に着目して、機能解析を行った。マウスの頭蓋縫合に牽引力を負荷してマイクロCT解析と組織学的解析を行った結果、牽引力は持続的に縫合を拡大し、7日目にピークに達した。その後、縫合性骨形成が進行し、拡大された縫合領域の面積は経時的に減少した。一方、CTGF中和抗体を投与しながら、マウスの頭蓋縫合に牽引力を負荷してマイクロCT解析とカルセイン・テトラサイクリンによる生体染色を行った結果、中和抗体非投与群と比較して、縫合性骨形成が抑制された。牽引力負荷後7日目に、縫合における前駆骨芽細胞凝集でGli1の発現が認められた。一方、CTGF中和抗体投与により、そのGli1の発現は抑制された。以上の結果から、CTGFは牽引力が負荷された縫合細胞に作用し、細胞内シグナルを活性化することにより、頭蓋縫合における骨形成を促すことが明らかとなった。
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J Bone Mineral Metab
巻: 35 ページ: 40-51
doi: 10.1007/s00774-016-0737-z