研究課題
本研究の目的は、高効率で確実な骨再生を実現するために、間葉系と造血系の両者の幹細胞の相互作用を活用して骨形成の促進と維持を実現する方法を確立し、歯科矯正治療への応用を目指すことである。平成28年度実施状況として、前年度までに、FGF徐放化製剤に幹細胞特性維持を実現する骨髄微小環境を形成するSCFの添加量を決定し、SCF含有FGF-2徐放化製剤の使用を決定した。この製剤をFisher344ラット抜歯窩モデル(7週齢オス、n=9)に移植し、移植後4, 8, 12週で組織の摘出をおこない、DEXA法を用いて骨塩定量、3D-μCTによる骨形態評価をおこなったところ、周囲骨との適合の良好な骨組織の形成を認めた。さらに、組織切片を作製し、H-E染色法、トルイジンブルー染色法、Azan染色法から、経時的にも骨髄組織が維持されていることが確認された。骨髄における幹細胞の局在は、間葉系幹細胞はCD146、造血幹細胞はCD34, CD150にて免疫組織化学的に評価をおこない、経時的な幹細胞の局在変化は認められなかった。これらの結果をから、SCF含有FGF-2徐放化製剤が骨形成に優れ、骨髄維持が良好であることを実証した。最後に、矯正力を用いた歯移動による当製剤の有用性を検証するために、Fisher344ラット(7週齢オス、n=12)抜歯窩モデルに当製剤を移植し、移植後8週にて矯正移動を開始し、移動直後、移動後2、4、6週と経時的に移植部を単純X線、3D-μCTによる骨形態評価にて、経時的な歯の移動量を評価したところ、移植物の良好な骨形成および歯体移動に有害事象がないことが確認された。同部位の骨片を摘出した組織学的解析においても、周囲骨との境界はなく移行的に新生骨の形成および骨髄組織形成が確認できた。これらの結果から、添加的骨形成のためのSCF含有FGF-2徐放化製剤製造技術の有用性を実証した。
すべて 2016
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