研究課題
現代社会では食生活の変化に伴い咀嚼機能が低下し、顎骨が退化縮小した結果、不正咬合が増加したと言われている。しかし、食生活などの後天的な影響がどのようにして顎態を変化させるのか、その分子機構は未だ不明である。今回我々はその分子機構を調査するため以下の実験を開始した。生後3週のICRマウスを2群に分け、粉餌、固形餌を与え5週齢まで飼育した。粉餌飼育群をさらに2群に分け、粉餌、固形餌を与え7週齢まで飼育した。その後同様に2群に分け9週齢まで飼育した。生後3週、5週、7週、9週の各時点においてサンプルを回収し実験を行った。小動物用X線CT装置にて撮影したマウス頭部を立体構築し、セファログラム分析法を応用してサンプル間の詳細な形態比較を行った。また各サンプルの咬筋からtotal RNAを回収し、筋機能を反映すると言われているMyh遺伝子群の発現をRealtime RT-PCR法により比較した。また、咬筋の筋線維特性を速筋と遅筋を分けることのできるNADH-TR染色を用いて観察し、顎骨の形態変化と遺伝子発現の変化及び筋線維特性の関連性を考察した。Micro-3DCTを用いてマウスの顎骨の形態を解析した結果、食餌の硬さの違いで下顎頭の高さ、歯槽骨の高さが変化した。また、Myh遺伝子群が食餌の硬さを変更させた後に応答し、発現を変化させていた。さらに、組織染色から筋線維の特性が変化した。マウスの顎骨の形態を詳細に解析した結果、粉末食を与えたマウスは骨格性ハイアングルの形態的特徴を有していた。特に生後3から7週の期間に与えた食餌の硬さが最終的な骨格形態に影響を与えることが示された。また、粉餌を与え続けたマウスでは硬餌を与えたマウスに比較してMyh4遺伝子の発現量が増加、Myh2遺伝子の発現量が減少し、これに伴い組織染色では速筋の比率が減少することが分かった。
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Korean Journal of Orthodotntics
巻: in press ページ: in press
Clinical Oral Investigation
巻: 19 ページ: 363-371
10.1007/s00784-014-1260-z