研究課題/領域番号 |
26463095
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
川合 暢彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (40437588)
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研究分担者 |
二川 健 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20263824)
田中 栄二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (40273693)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨格筋萎縮 / ユビキチン-プロテアソーム経路 / IGF-1シグナル / Cbl-b / 機能性ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究は成長期における筋機能の低下による骨格筋萎縮の機序解明とCbl-b阻害ペプチドの投与実験による個体レベルでの筋萎縮回復の検討により、本ペプチドによる筋萎縮治療法の有効性を確立することを目標とする。本年度は機械的負荷の減少による骨格筋萎縮の病態形成におけるユビキチンリガーゼCbl-bの関わりを明らかにすることを目的とし以下の結果を得た。 12週齢のC57BL/6雄性マウスおよびCbl-b遺伝子欠損マウス各12匹を使用し、萎縮モデルとして実験群には右側座骨神経切除術を施行し対称群には偽手術を施した。手術9日後に両群の右側前頚骨筋を摘出した。摘出した筋から凍結切片を作製しH-E染色を施したのち筋線維の横断面積を求めたところ、C57BL/6雄性マウスでは実験群の筋線維は有意に萎縮していたもののCbl-b遺伝子欠損マウスは萎縮に対し抵抗性を示した。また、ウエスタンブロット法より、C57BL/6雄性マウスでは実験群の前頚骨筋ではインスリン受容体基質であるIRS-1のタンパクレベルが減少していたがCbl-b遺伝子欠損マウスでは有意な減少を認めなかった。 これまでの結果より機械的負荷の減少に伴う骨格筋萎縮にはユビキチンリガーゼCbl-bがIRS-1を分解促進することによるIGF-1シグナルの減弱が重要であることが明らかとなり、Cbl-b阻害が骨格筋萎縮を抑制し得ると考えられた。そこで次年度は、抗ユビキチン化ペプチドによる筋萎縮抑制効果について実験動物にペプチドを投与し解析を行い検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究結果より、Cbl-b遺伝子欠損マウス骨格筋は廃用性萎縮に対し抵抗性を示したことから、機械的負荷の減弱による骨格筋萎縮にCbl-bが関与することが示され、次年度のCbl-b阻害ペプチド投与実験を行う上で、その重要な根拠を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、抗ユビキチン化ペプチドによるIGF-1シグナル回復に基づく筋萎縮抑制効果について実験動物を用いて本ペプチドの投与実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
目標とする実験計画は遂行されたうえで、請求額と支出額との間にわずかに差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度に実験動物、細胞培養器具、遺伝子関連試薬、蛋白質検出試薬、その他一般試薬およびその他一般器具の購入費用を計上しており、今回の余剰金を物品費に加算して使用する。
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