二次口蓋癒合時のTGF-βのdownstream であるSmad-2/3経路、および BMP pathwayであるSmad1/5経路との関連性については明らかとなっていない。したがって、TGF-βreceptorのinhibitorを二次口蓋に作用させた際に生じるTGF-β/BMPそれぞれのdownstreamであるSmadのphosphorylationへの影響について明らかにし、TGF-βsとBMPsとの cross talk について解明することを目的とした。試料として胎生13日のマウス口蓋の器官培養にて、TGF-β receptorのinhibitorを添加し、72時間まで培養した。二次口蓋の切片を作製した後、BMP2およびBMP4の免疫染色を行った。また、Western blot法にて、BMP2、BMP4およびdown streamであるSmad1/2/3/5のphosphorylationについて調べた。その結果Control群では、72時間後の二次口蓋は癒合していたが、inhibitor添加群において癒合不全を生じていた。免疫染色の結果、24時間後の二次口蓋にBMP2およびBMP4の発現を認めた。Western blot法によるタンパク発現については、二次口蓋癒合時にBMP2/4およびreceptorの発現が認められ、すべてのSmadのphosphorylationを認めた。Inhibitor添加群では、control群と比較し、p-Smad2/3の発現は約90%減少し、一方BMPのdown streamであるp-Smad1/5についてもそれぞれ約40%減少していた。二次口蓋癒合時にTGF-βのシグナル伝達を抑制すると癒合不全が生じ、二次口蓋癒合時においては、TGF-βsとBMPs との cross talk が行われている可能性が示唆された。
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